インダクタは「渦」「巻く」を意味し、基本的には銅線を巻いた構造。電気を流すと電流の流れる方向の右回りに磁界が発生する。電気エネルギーを磁気エネルギーの形で蓄えることができる受動部品。コンデンサ、抵抗器を合わせて電子回路の基本となるもの。
記号はL。単位はH(ヘンリー)。以前からコイルと呼ばれている。
働きは(1)電流の変化を抑え、ノイズを吸収する(2)交流の電圧を上げたり、下げたりできる(3)直流は通して、周波数で信号を選り分ける。
種類は、不要な高周波信号を通さないRFチョークコイル、特定の周波数の信号を取り出す同調用/共振用コイル、電流の安定化、ノイズ除去、昇圧する電源用コイル、中間周波数信号を取り出すIFTなどがある。
製造方法によって一般的な巻線タイプのほか、積層タイプフェライトと電極を交互に積み重ねて焼成した積層タイプ、半導体製造技術を使った薄膜タイプなどがある。
需要が伸びているのは、スマホやタブレット向けの超小型インダクタ。高周波回路に使用する高Qの高周波インダクタ、高密度回路でノイズを抑制するノイズ対策用インダクタ、各種ICを駆動させるためのDC―DCコンバータにチョークコイルとして使用されるパワーインダクタなど。
中でもパワーインダクタは、これまでの一般的なニッケル(Ni)―亜鉛(Zn)系フェライトコアを使った巻線タイプに加え、最近では小型、大電流対応として金属磁性材料をコアに使用したメタル系インダクタが多く搭載されるようになってきた。
一方、大型インダクタは、太陽光発電といった新エネルギー、EVやHEVなどの自動車、省エネで幅広く使用されている産業用インバータなどで需要が伸びている。
フェライトコアを使った巻線タイプが主流だが、要求特性によってアモルファス、金属磁性材料、ケイ素鋼板など、様々なコア材を使用したコイルが用いられている。また、線材は、一般的な銅線のほか、最近ではアルミ線なども使われている。巻線工法についても、小型、大電流対応、低損失・高効率化に向けて平板銅線を縦巻きにしたエッジワイズ巻きなど、多彩化してきた。