一層高度化する製造技術

スマホの薄型化などに対応した新しい工法や接合法

 スマホやタブレットPC、EV/HEV、ウエアラブル、産業機器など新しいエレクトロニクス製品の市場拡大に伴い、新製造技術や新工法が開発されてきた。スマホの薄型化に対応した新工法、接合技術の開発などが進む。日本のモノ作り技術が期待されている。

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スマホ基板のコネクタレス
接続(パナソニック)

 FPCとボードの直接接続によるスマホの薄型化

 パナソニックはFPCを基板に直接接続するコネクタレス接続工法を開発した。錫、ビスマス系のはんだ粒子入り熱硬化性樹脂を用い、FPCをマザーボードに直接熱圧着する。この工法に適した熱圧着装置も開発した。はんだ粒子入り熱硬化性樹脂は150℃で熱圧着する。低荷重実装によりマザーボード裏面への部品実装が可能。

 フォトエッチング技術と分子移動による拡散接合
 の応用で極小部品加工

 フォトエッチング加工は、精密写真と腐食技術を応用し、エレクトロニクス製品などにおける極小部品・極薄板製品や特殊・複雑形状の製品などを精密に加工する方法。

 拡散接合技術は、金属材料を微細にエッチング加工した後、接着剤などを一切用いず、また材料を溶解させることなく、真空中で材料間の原子移動により互いに接合させる。

 エッチング加工した金属材料を複数枚積層(10層以上も可)することで、機械加工では困難とされていた複雑な3次元構造も可能にした。

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超小型部品加工サンプル(アロン社)
 ステンレス鋼材、銅合金、鉄、ニッケル、アルミ合金などの金属材料に対して拡散接合による中空構造立体積層製品(各種デバイス用ヒートシンク、燃料電池関連部品、インクジェット用ノズルなど)などが既に実用化されている。

 アロン社はこの接合技術による事業の拡大に取り組む。2ミリ角、厚さ0.05ミリメートルの金属をエッチング加工し、4層に積み重ねる極小部品を開発した。中空部分に冷却液を注入し、電子機器の放熱回路に活用できるという。

 車載など用途開発が進む導電性粘着剤(銀ペースト)

 電子部品などの新しい接合方法として、導電性粘着剤を用いる方法が注目され始めている。
導電性粘着剤は、固着を担う樹脂と導電を担う金属(導電性フィラー)を混合したもので、電気を通す性質と物質同士を固着する性質を併せ持つ。一般にはエポキシ樹脂と銀を組み合わせることが多い。

 導電性接着剤はプラス300℃程度でも短時間であれば接合を維持することから、高温はんだの代わりになる可能性があるといわれている。車載機器向けなど用途開発が進む。

 印刷技術を応用したプリンタブルエレクトロニクス

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期待されるプリンテッドエレクトロニクス技術
 プリンタブル(プリンテッド)エレクトロニクスは、印刷技術とフレキシブルな素材を用いて電子回路やセンサーなどエレクトロニクス製品を製造する。フレキシブルディスプレイ、電子ペーパー、有機薄膜太陽電池、有機EL照明、RFID、医療用センサーなどの製造に適しているとされている。4月6日から8日まで東京ビッグサイトで開催された「高機能フィルム展」に設けられた「プリンタブルエレクトロニクス」コーナーも関心を集めた。
 同技術は蒸着法のようにマスクを当ててパターニングするなどの作業が不要となり、工程が大幅に短縮できる。

 エレクトロニクス、印刷、装置、材料メーカーなどの企業と産業技術総合研究所は、技術研究組合「次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合」を組織し、活動を始めている。