最近の車は、ドライバーや歩行者等の安全性向上のため様々な機能付加が進んでいる。車の安全システムは(1)アクティブセーフティ(予防安全)と(2)パッシブセーフティ(乗員安全)に大別される。
衝突事故を未然に防止する予防安全系では、ミリ波レーダー(76GHz)や車載カメラなどとセンサーの組み合わせによる高度な運転支援システムの搭載が進んでいる。具体的には、レーダーが前方車との距離を測定し、ドライバーに危険を告知したり自動減速を行う追突防止レーダー、車載カメラが道路の白線を認識し本来のレーンに誘導する白線検知システム、カメラで角膜検知を行う居眠り防止システムなどがある。部品各社はこれらに対応し、ミリ波レーダーや車載用高画素カメラ部品、横滑り防止などのセンサー、無線モジュール等の開発を加速させている。
運転者が視界を前方から外すことなく運転できるHUD(ヘッドアップディスプレイ)開発も加速。将来の「V2X」市場に照準を合わせ、IEEE802.11p(5.9GHz)規格準拠の車車間通信モジュールなどの開発も進展している。乗員安全系では、プリテンショナルシートベルト向けのモーターやセンサーなどの開発が進む。
カーナビを中心とする車載情報通信系では、取り扱いデータ量の増大に対応するための高速伝送対応部品開発や、車とスマホの連携に向けた部品開発などが進んでいる。
EV/PHV/FCV向けでは、車載インバータ用の高圧コンデンサとしてフィルムコンデンサやアルミ電解コンデンサの技術開発が進展している。車載プリント配線板の耐熱信頼性要求に対応した受動部品開発も進む。150℃の耐熱特性に対応した部品の投入も加速している。
車載蓄電デバイスとして、電気二重層キャパシタの搭載も本格化しつつある。電気二重層キャパシタは大量の電気を瞬時に充放電でき、繰り返し使用しても劣化が少ないのが特徴。
エコカー用2次電池は、従来のHEVの主流だったニッケル水素電池に加え、LIBの開発が活発化。各社は、バッテリの小型軽量化や、急速充電・繰り返し充電対応、長寿命、安全性向上、低コストなどを追求した技術開発に力を注いでいる。