家電・AV、モバイル機器、産業機器、健康・医療機器、車載などあらゆる電子機器の心臓部としてマイコンが使われている。その数は年間86億個といわれる。
マイコン市場は拡大傾向が続いている。米市場調査会社のIC Insightsのリポートによると、2014年の世界のマイコン売上高は前年比6%増、161億ドルで過去最高を記録した。さらに2015年には7%増、2016年には9%増と伸び続けるとみられる。
半導体メーカーはマイコンの新製品を積極的に投入している。ロームグループのラピスセミコンダクタはノイズに強く、動作温度を−40―105℃に広げた16 ビット 汎用ローパワーマイコン「ローパワータフマイコン」を開発した。
静電気放電ノイズテストの国際電気標準会議(IEC)規格最高レベル4(試験電圧±8kV)を超える±30kVの電圧ノイズに耐えられる。掃除機、洗濯機のモーターやIH調理器などから発生する自己ノイズや静電気、放射ノイズ、電源ノイズなどの外部ノイズへの耐性を大幅に強化。炊飯器、IH調理器のヒーターや掃除機のモーター、冷蔵庫のコンプレッサなどからの発熱、放熱にも強い。
東芝はARM Cortex−M3コアを搭載したマイコン「TX03シリーズ」の新製品として、スマートメータ向けの「TMPM311CHDUG」をラインアップに追加した。
新製品は24 ビット ΔΣ型ADコンバータを4チャネル内蔵し、電流、電圧を高精度(測定誤差0.1%未満)に同時測定、電力演算が可能で、高性能スマートメータの製品化に貢献する。
STマイクロエレクトロニクスは、ARMコアCortex−M0を搭載した新しい32 ビット マイコン「STM32F091」を製品化した。
オーディオや3相電力メータなど幅広いアプリケーションにおいて、自由度の高いシステム構築を実現する。
はんだメーカーはコストダウンに対応した低銀化や車載、超小型部品用といった用途別など市場のニーズに合わせた製品開発に取り組んでいる。
はんだは合金の一種で、これまで錫、銅を基材に、銀の含有率を3%(質量比)にした「SAC305」(業界の呼称)が「業界標準」として広く採用されてきた。高騰する銀の価格により、はんだ材料の価格も上昇せざるを得ないが、コスト要求に応えるため低銀化に各社とも取り組み始めている。
千住金属工業は銀の含有量を0.3%に抑えた製品を開発。さらに銀を使わず低融点化に重点をおいたはんだも製品化している。弘輝も低銀はんだの開発を強化。すでに銀0.3%や0.1%の製品を開発した。銀の含有量を減らしCo(コバルト)を添加元素に選んでいる。日本スペリア社はSN100CでNiとGeを用い、銀レス化を図った。
車載用プリント基板のはんだには温度・湿度、振動、塵埃など過酷な環境下での厳しい品質、信頼性が求められる。はんだメーカーは強度を高めるために新たな元素を加えるなど、車載に適した製品の開発に取り組んでいる。
千住金属工業は、0201サイズ部品実装用のはんだペースト「M705 RGS800 Type6」とハロゲンフリー仕様の「M705 RGS800HF Type6」を開発した。はんだ粉末として従来一般的に使用されている30μmではなく10μmの極微細粉を使用した。弘輝やタムラ製作所も0201サイズ部品に対応したソルダペーストを開発している。