コンデンサ、進む高性能化

 コンデンサ技術が高度化している。産業・エネルギー、自動車、スマホなど成長分野に対応。特に電気二重層キャパシタ、アルミ電解コンデンサなど電源回路で使用するコンデンサは、主要構成材料からプロセスまで最新技術を駆使。用途に最適な製品が開発されている。

 電気二重層キャパシタ

 電気二重層キャパシタは、セラミックコンデンサや電解コンデンサといったコンデンサに対して大容量で、電池に対してESRが低く、長い寿命を有した蓄電デバイス。小型キャパシタの場合は、電子機器のIC駆動のバックアップで広く用いられている。大型キャパシタは産業機器や自動車分野で蓄電、回生エネルギーなどの用途で採用が本格化してきた。

 村田製作所は、電気二重層キャパシタのラミネートタイプ「DMFシリーズ」で、低ESRで、しかも1000mFの大容量化を実現した。業界最高レベルの低ESRを実現、数十Wレベルの大出力での放電が可能なデバイスである。

 ピーク出力補助電源としては、LED、小型DCモーター機器、ガス・水道スマートメーターなどの用途がある。バックアップ用補助電源としてはSSD、PLCなどのメモリーバックアップなど。バッテリ負荷軽減用途ではオーディオ機器、各種通信機器、セキュリティやヘルスケア機器の電源。蓄電素子としてはエネルギーハーベストを用いたIoTデバイス、センサーネットワークシステムの電源などとして用いることができる。

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低抵抗電気二重層キャパシタ
(3000F、φ63.5×153Lミリ
メートル、日本ケミコン)    
 日本ケミコンでは、電気二重層キャパシタ「DLCAP」を自動車メーカー2社に供給している。供給する電気二重層キャパシタは、安全性を重視したPC系電解液を使用。加えて、独自の技術で内部抵抗を大幅(従来品比で2分の1以下)に抑えることに成功している。

 今後の開発の方向性としては低内部抵抗化のほかに、高耐電圧化、大容量化、高耐熱化などを挙げている。低内部抵抗品「DXEシリーズ」に静電容量3000F品および3600F品を開発し、製品ラインアップに加えた。

 アルミ電解コンデンサは、小型、低コストで大容量が得られることを特徴として、各種電源で使用されている。最近では特に自動車分野でチップタイプの新製品開発が活発化している。

 ニチコンは、車載用を主な用途とする低温ESR)規定チップ形アルミ電解コンデンサ「CZシリーズ(UCZ)」にφ12.5〜φ18mm品を新たに追加した。自動車の電子制御化が急速に進むとともにECUや各種制御ユニットの搭載位置が車室内もしくはその近辺からエンジンルーム付近へと移行。エンジンルーム付近ではエンジンからの輻射熱にさらされるのに加え、寒冷地での使用時には外気温の影響で低温にもさらされる。

 「CZシリーズ」は、特に車載用途の厳しい温度環境下での使用に対応する低温ESR特性を有するもの。今回のサイズ拡充では、高容量電極箔の採用で既存の「UEシリーズ」に比べ静電容量を最大4倍まで大容量化を実現した。

 電解液を導電性高分子に代替した導電性高分子アルミ固体電解コンデンサの用途開発も活発化している。ルビコンは、複数の導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ素子「PC―CON」を積層し、高容量、低ESL低ESRを両立させたことにより、部品点数を少なくし実装コストを削減できるノイズ対策用の「MAT―C」を開発した。

 SoC(システムオンチップ)は微細化が進み、それに使用されるコア、I/O、DDRなどの電源は使用する半導体プロセスや、用途によって、各々違う電圧が採用されている。そのためにPOL(ポイント・オブ・ロード)と呼ばれる別々のコンバータが必要となり、それぞれにデカップリングのコンデンサを接続。ノイズ対策として、それぞれの電源端子に積層セラミックコンデンサを接続する必要がある。

 「MAT−C」は複数の大容量コンデンサが積層(内蔵)されているため、各電源のデカップリング素子としての機能を果たし、しかも高周波特性も優れているので、多電源のSoCの電源の低インピーダンス化に適している。

 0201サイズの積層セラコン

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0201サイズの積層セラミックコンデンサ
                   (太陽誘電)

 スマホ向けでは、積層セラミックコンデンサにおける超小型化技術が進展している。村田製作所、太陽誘電が、次世代チップサイズとして、0201サイズの積層セラミックコンデンサの生産を開始した。今後実装信頼性などを確保しつつ、本格的な搭載に向けた取り組みが活発化する見通し。

 スマホなどではモジュールの搭載が増え、その小型化技術として部品内蔵基板の採用が進んでいる。

 現在、積層セラミックコンデンサでは部品内蔵基板用として厚みが0.14ミリが開発されている。太陽誘電は、新たに同0.11ミリの超薄型化を実現した。