スマホやタブレットPC、自動車の電子化など成長分野は半導体産業をけん引する。同時に製造プロセスに技術革新をもたらし、半導体のパッケージングも変化する。
スマホ、カーエレクトロニクスなど電子機器市場は急激に拡大、進化を続けており、これらの市場はIC技術が支えている。ICパッケージもPoP(Package on Package)、CSP(Chip Size PackageまたはChip Scale Package)、BGA(Ball Grid Array)などが高密度機器実装対応のパッケージとして開発され、市場で大量に使われている。
ロジックやアナログではCSPがウエハーレベルのWL CSP、さらにはベアチップ実装へと進化。PoPは多層化し、3DIC、フル3DICへと密度が高まる。DRAMやNAND型フラッシュメモリーで先行する。シリコン貫通電極(through silicon via:TSV)を用いたチップの3次元積層やプリント基板の代わりにシリコン基板を用いるシリコンインターポーザや3次元実装用の接着樹脂などの開発が進む。CMOS画像センサーでも3D化が進む。
米アップルの次期「iPhone」に搭載されるプロセッサ「A9」の製造の7割を、韓国サムスン電子と米グローバルファウンドリーズ連合が獲得したもようだ。先進の14nmFinFET技術で製造する。
サムスンは、スマホでアップルと競合しながらも、ファウンドリー(半導体受託生産)メーカーとして「iPhone」の頭脳となるAシリーズプロセッサを独占的に製造・供給してきた。しかし14年発売の「iPhone6/6プラス」用の「A8」は、台湾のTSMCが受注。これがTSMCの業績を大幅に押し上げ、14年は過去最高売上げを達成した。
グローバルファウンドリーズとは14年4月に提携しており、3次元トランジスタ構造のFinFETを用いた14nmプロセス技術をライセンス供与。共同生産体制を構築し、量産に備えている。「A9」生産の残り3割はTSMCが受注。16nmFinFET技術で製造するという。
3DIC(3次元IC)はチップを何層にも重ね、上下のチップ同士の接続をTSVで行う。メモリー・セルを一括プロセスで多段積層することにより、微細化に頼らず大容量化と低コスト化を実現する技術として注目されている。
東芝は独自のパイプ型BiCS(ビット・コスト・スケーラブル)技術を用いた3次元NAND型フラッシュメモリーを開発している。
米サンディスクと共同でNAND型フラッシュメモリーの生産拠点である四日市工場の第5製造棟(第2期分)を昨年夏に竣工した。
今後数年間で数百億ドル規模へと成長が見込まれるSSD(ソリッドステードドライブ)市場を見据える。製造装置メーカーとリソグラフィを共同で開発。15ナノプロセスを用いて48層、256G ビット を目指し、3月までにサンプル出荷を始める。
サムスンは容量128G ビット の3D「Vertical NAND(V−NAND)」の量産を開始している。セルを垂直に積層した24層円筒構造。セルは、独自の接続技術により最下層から最上層まで複数の穴を開け電極を接続。10ナノプロセスによる48層構造の3D V―NANDも開発中。
WSTSは2014年の世界の半導体市場はプラス6.5%成長、2015年はプラス3.4%、2016年はプラス3.1%と緩やかな成長を継続すると予測する。