タッチパネル技術が一段と高度化している。タッチパネルメーカー各社は、スマホ/タブレット端末/ウエアラブル端末用のモバイル機器や、カーナビ、産業機器などの各用途向けに、独自性の高い新製品・新技術開発を加速させている。
モバイル機器用では、薄型・軽量かつ高強度・高精度の要求に対応した静電容量方式タッチパネルの開発が活発。新構造のタッチパネル用センサー開発により、従来と同等の性能を維持しつつタッチパネルモジュールの大幅な薄型化を実現する超薄型静電容量タッチパネルなどが開発されている。
従来のディスクリートソリューション(外付け)用センサーはPETフィルム上にXとYの透明電極をそれぞれ載せて重ね合わせた2枚構造であるのに対し、1枚のPETフィルムの片側にXとYの透明電極を載せることで大幅な薄型化を追求した製品などが開発されている。
今後の需要本格化が期待されるウエアラブル端末(腕時計型端末、眼鏡型端末など)への搭載用に、フレキシブルディスプレイ向けの曲面対応タッチパネルの技術開発なども活発化している。
車載用では、カーナビや集中コントロールシステムなどの用途向けに、車載抵抗膜方式および静電容量方式タッチパネルの需要が拡大している。車載用タッチパネル開発では、温湿度等の耐環境性能や、耐ノイズ環境など、高度な技術が要求される。自動車ドライバーの安全性向上に寄与するフォースフィードバック(FFB)タイプタッチパネル開発にも力が注がれる。特に最近は、車載仕様に対応した静電容量方式タッチパネルの開発に乗り出すメーカーが増加。車載純正用タッチパネルは、現在主力の抵抗膜方式から、15年以降に向けて静電容量方式への切り替えが順次進展することが予想されており、タッチパネル各社の業界標準獲得に向けた技術開発が加速している。
タッチセンサーの感度を高め、手袋をした状態でも入力操作可能な相互容量タイプ車載仕様静電容量方式タッチパネルや、曲面対応タッチパネルなどの開発も進展。カーナビ用タッチパネルのデザイン面でのレベルアップも追求されている。
空間の僅かな静電容量を検出することでタッチパネルに触れずに操作可能なタッチレス操作パネルなども開発されている。マルチタッチ操作が可能な抵抗膜方式タッチパネルも製品化された。
カーナビやセンターコンソール向けに、カバーガラスとセンサー面を一体化させ薄型化を図った車載用静電容量方式OGS(ワン・グラス・ソリューション)タッチパネルなども開発された。1枚のみのガラスを使用することで薄型化を図り、デザイン性向上も追求されている。
事務機器用タッチパネルでは、手を近づけたことを認識する近接センサー機能を搭載した抵抗膜方式タッチパネルが商品化され、新たな操作方法の提案が進められている。
タッチパネルの新たな需要分野として期待される白モノ家電向けでは、冷蔵庫や調理家電などの分野で求められる低コスト化要求に対応するため、搭載機能を絞りこんだ1層フィルム構造の静電容量式タッチパネルなどが開発されている。一般的なフィルム構造の静電容量式タッチパネルは2枚のセンサーフィルムを組み合わせた構造であるのに対し、センサーフィルム1枚構造でキー入力や2点マルチ操作などの機能を実現することで、材料コスト低減を図った製品などが投入されている。
タッチパネル材料の技術開発も加速している。
高機能フィルムやガラス、偏光板メーカーは、タッチパネルの高透過性や低反射、柔軟性向上、操作感触の向上、長寿命、高信頼性、防汚性や指紋の付きにくさ、ノイズ対策、低コスト化などに向けた次世代材料開発を推進する。
タッチパネルのキーマテリアルである透明導電性フィルムでは、ITO(酸化インジウム錫)フィルムの代替技術開発にも力が注がれ、銀ナノワイヤーをはじめとする代替材料の研究などが進展している。
(自動車ドライバーの)偏光サングラス使用時のブラックアウトを防止するためのタッチパネル材料の研究などにも力が注がれている。