自動車用電子部品 活発な技術・製品開発

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 自動車の電子化が安心、安全、快適、楽しさ、通信、環境・省エネなどをキーワードに進展している。安心、安全機能の進化に向けてはレーダー、車載カメラ、各種センサーの開発、商品化が進み、進化の先には自動運転の実用化がある。

 レーダーは、歩行者検知や車間距離検知により衝突を防ぐ衝突回避システム用ミリ波レーダー、ミリ波レーダー用LTCC(低温焼成セラミックス)などの技術革新が続いている。

 車載カメラも障害物検知や死角確認、後方確認、駐車支援、走行時の白線認識などの用途が拡大。画素数も現在の25万画素、30万画素から100万画素以上の要望に向けて開発が進んでいる。先進運転支援システム(ADAS)や将来の自動運転には欠かせない電子の目であり、車載カメラへの期待は大きい。

 センサーは調査会社調べでADAS用カメラを含めた車載用センサーの世界市場が20年には13年比1.4倍の2兆8846億円になるという予測があるほど、自動車の電子化のキーデバイスだ。ADASではドライバーの顔や視線を検知して安全運転につなげるセンサー技術開発が加速している。快適機能でもセンサーによる快適車内空間の実現がさまざまな角度から取り組まれている。
 快適、楽しさではエンターテインメント用スピーカ、ヘッドホン、マイクロホンの音響部品の進化がめざましい。次世代自動車スピーカレイアウトに対応したコンパクトデザイン、高品質のスピーカの提供を目指す。

 長距離運転が多い欧米や中国、東南アジアでの需要が増えているリアシートディスプレイ用ヘッドホンにはリモコンで実績のある赤外線の送受信技術による赤外線ヘッドホンが登場してきた。スマホ、タブレット端末に搭載されているブルートゥースに対応したブルートゥースヘッドホンもスマホ、タブレット端末との連動で市場が形成される見通しだ。音声認識での操作が増える中でマイクロホンの新製品も相次いで発売されている。周囲ノイズをキャンセルしドライバーの声の認識率を高めるソフト技術を融合したマイクロホンの開発も進んでいる。


次世代VICS対応FM多重放送受信用LSI

 通信においてはITとの融合によるスマートカーへの取り組みが勢いをつけてきた。インターネットの接続は将来の自動運転にもつながると欧米、日本などの主導権争いがし烈だ。今後多彩なアプリ配信サービスと合わせて自動車の大きな技術開発テーマとなっている。日本では15年4月からサービスが始まる次世代VICSに対応したFM多重放送受信用LSIが開発された。現行のVICS―FM多重放送の約2倍の伝送容量を確保し、次世代VICSサービス、コンテンツに対応する。

これにより、ナビが動的経路探索に利用できる一般道リンク旅行時間情報をはじめ、右左折など進行方向別の旅行時間情報などの拡張渋滞旅行時間情報、気象・津波・火山噴火などの緊急情報、気象・災害・規制・地域イベントなどに関する拡張事象規制情報、臨時駐車場・充電施設などの施設情報といった新しい文字情報、地図情報の提供が可能となる。これまでビーコンユニットを装着していないと受信できなかった一般道リンク旅行時間をFM多重放送からも受信でき、FM多重放送対応だけの受信機でも同サービスを利用できる。
環境・省エネではハイブリッド車(HV)で先行した日本メーカーがプラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)に続き究極のエコカーと言われる燃料電池車(FCV)でも先行する。欧米勢もこれを追う形でEV、PHVを市場投入する。キーとなるモーター駆動システムや電池システムに向けてのデバイス、ユニット開発に一段と力が入る。高出力、高効率、高電圧、耐環境への対応も進む。

電装化が進む中で走行、制御にかかわる各種制御ユニットがエンジンルーム付近と搭載される傾向となり、過酷な温度環境下での高信頼性、耐久性への取り組みとともに今後の自動車用部品、モジュールの大きな研究、開発テーマとなっている。

7日から11日まで幕張メッセで開催されるCEATEC JAPAN2014でも自動車の電子化、ADAS、自動運転関連の最新技術、最新デバイス、モジュールなどが一斉に展示、紹介される。