注目されるMEMS技術

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 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)が注目されている。スマホ、自動車のエアバッグなどで使われる加速度センサーはじめ幅広い分野で製品の高付加価値化デバイスとして活用されている。
 MEMSは、微小な電子回路と機械要素を一つの基板上に組み込んだデバイス/システム。半導体のシリコン基板、ガラス基板、有機材料などにセンサーやモーター、電子回路などをひとまとめにした構造になっている。MEMSの大きさは、一般には全長がミリメートルオーダー以下で、その部品はマイクロメートルオーダー。
 成膜、露光、エッチングといった技術を使い、化学反応や熱処理を利用するなど、半導体の微細加工技術を応用して製造する。
 MEMS技術は、日本のものづくり産業の将来の成長に向けた次世代産業を支える技術の一つとして期待されている。産学官協同でMEMS分野の基盤技術の確立に取り組んでいるマイクロマシンセンターによると、日本のMEMS産業の市場規模はすでに1兆円を超え、15年1兆5500億円、20年3兆1300億円に達すると予測する。
 開発・製品例としてはスマホや自動車のエアバッグ、プリンタヘッドなどで使われる加速度センサーはじめプロジェクタで光を制御するミラーデバイスなど、幅広い分野で活用。このほか、圧力、角速度、温度、ガス、気圧といった各種センサーやマイクロホンなど広がっている。


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3×3×1ミリサイズのデジタル出力タイプ
3軸加速度センサー(北陸電気工業)
   

「主なMEMSデバイス製品と用途例」

◇圧力センサー
 MEMSの中でも圧力センサーは研究開発の歴史が最も古く、実用化の進んでいるセンサー。受圧部のシリコンダイヤフラムが圧力を受けた時の応力・変位を電気信号に変換し圧力を計測する。ピエゾ式、静電容量式と振動式に分類される。圧力センサーは自動車エンジンなどの圧力測定、血圧計、気圧計、ガス圧計などに広く普及している。

◇加速度センサー
 加速度センサーはセンサー内に大きな「おもり」を梁などで支えた構造を持つ。加速度によって「おもり」に発生する慣性力が支持構造を変形させ、その変形を様々な方式で検出しする。検出方式は静電容量型、ピエゾ抵抗型、圧電型などに分類される。
 支持構造と検出素子の配置によって検出できる加速度の方向が決まる。加速度センサーは自動車エアバックの衝撃検知、スマホ、ハードディスク落下検知やアミューズメント分野などに応用されている。

◇DMD(デジタルミラーデバイス)
 米国TIで製品化されたディスプレイ用のDMD。MEMS開発の初期から研究が行われ、最も成功したMEMSのひとつと言われている。構造としては、ディスプレイ画像の画素に相当する部分がマイクロミラーから構成され、各ミラーの大きさは十数マイクロメートル角程度ときわめて小さいミラーから成っている。
ディスプレイ画素の明るさはミラー反射光量を制御して調節し、各ミラーの傾きはミラー部分の下に配置されたトランジスタのメモリー素子による静電引力により制御されている。

◇光スイッチ
 光スイッチは光通信網の中継点において光信号の経路を光のまま切り替える素子として期待されている。光スイッチ方式は、扱う光信号の規模などにより2次元型と3次元型が選択される。いずれも従来の光電変換方式に比べて省スペース、省エネルギーなどの特徴がある。