全地球衛星測位システム用部品

 GPSなど複数の衛星測位システム 1モジュールで受信
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車載用GNSS受信モジュール

 電子部品業界では、複数の衛星測位システムに対応する「GNSS」(グローバル・ナビゲーション・サテライトシステム=全地球衛星測位システム)用部品の開発・投入に乗り出すメーカーが増加している。

 GNSSは、米国が運営するGPSのほか、ロシアが打ち上げを開始した「GLONASS(グロナス)」、欧州の「Galileo(ガリレオ)」、中国の「BDS(北斗)」、日本が10年に初号機を打ち上げた「準天頂衛星システム」などの各種測位衛星の総称。

 現在日本で市販されているカーナビやアウトドア用位置測位端末の大半は、GPSは受信できても、GLONASSなどは受信できない。これに対し、複数の衛星測位システムに対応することで、ナビゲーションの受信感度向上が期待されている。

 GPSモジュールの弱点として、受信感度が場所に依存する点がある。通常、GPSの電波から位置を特定するには最低3個のGPS衛星の受信が必要で、高度特定も含めると4個の衛星からの受信が必要。だが、一般的なGPSモジュールでは、視界が遮られる高層ビル街などでは受信不能になることもあり、山岳部では斜面に電波が反射しディレイが生じることが位置ずれにつながる。
 これに対し、GPSと軌道が異なる衛星測位システムも受信できれば、GPS単独対応端末と比較して受信感度の大幅な向上が期待できる。

 このため、部品業界ではGNSS受信端末市場の拡大を視野に、GNSS受信モジュールやアンテナの技術開発を加速させている。

 アルプス電気は複数の衛星測位システムに1モジュールで対応する車載用マルチGNSSモジュール「UMSZ2シリーズ」を開発、今春からサンプル出荷開始した。今秋以降の量産化を予定する。サイズは25.0×20.0×2.6ミリメートルの表面実装型。

 衛星からの電波受信に必要なアンテナ状態を検出する回路も内蔵し、顧客のアンテナ状態検出回路の設計や設置の負荷低減に貢献。業界最高水準の高速TTFF(電源オンから初期位置検出までの時間)を実現した。

 GPS、GLONASS、BDSに対応済みで、Galileoにもハードウエア的に対応している。「GNSS搭載カーナビは、今年から来年にかけて市場が立ち上がっていくとみている」(同社営業本部)として、今後、事業本格化を目指す。

 アンテナも


 ミツミ電機はGPS周波数帯域とGLONASS周波数帯域をカバーするGPS―GLONASS用アンテナ「GPA―GS400」を製品化している。一つのアンテナでGPS/GLONASSの両信号を受信可能。既存のGPSアンテナと同等の低背化を実現した。外形寸法は本体寸法が51.6×44.5×高さ11.1ミリメートル、ブラケット寸法が90.0×90.0×高さ0.80ミリメートル。

 ヨコオは市販カーナビ用に超小型の「GNSSアンテナ」を開発、量産している。GPSに加え、GLONASSやGalileoへの対応が可能なコンビネーションアンテナで「既にロシア市場向けのOEM供給が始まっている」(同社)。