岡山大学大学院自然科学研究科の林靖彦教授の研究グループと環境・エネルギーナノ技術研究所は、球状カーボンナノホーン(S─CNH)(注)を用いることで、コンセントやプラグの導通状態を大幅に改善することを見いだした。
コンセントやプラグの電極表面、音響機器のジャック接点部には、目に見えない微細な無数の凹凸がある。
この表面部分にS─CNHをスクワレン油に分散させた液を塗布し、S─CNHが凹凸部を埋めることで、接点改善効果を発揮するという。
ナノダイアモンドを用いた場合も接点改善効果は知られているが、S─CNHの場合は、接触抵抗値で約23%、インピーダンス(約1キロヘルツ)で、約55%低減した。
事業化のメドも立ち、品名「ナノマニキュア」として近々製品化を計画する。
ナノマニキュアは塗布のみで接点改善効果を発揮するため、プラグやコンセント以外に、音響機器から携帯音楽プレヤーなどのジャックに塗布するだけで、音質を飛躍的に向上させることができる。また、バッテリの電極部に塗布することで、電力の損失を低減、駆動時間を長くでき、充電時の短絡化も防ぐことが期待される。
(注)炭素の6員環構造からなる直径2―5ナノメートル、長さ10ナノメートル程度の角状のカーボンナノチューブ。通常、1千個以上のCNHが球状に凝集している。