ノイズ対策部品


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スマホのノイズ対策では0402サイズの
インダクタが用いられる (太陽誘電)

高まる重要性、活発な新製品開発

 ノイズ対策部品の市場が拡大している。周波数利用の多様化、高速デジタル機器の台頭などで、各種機器が誤動作するなど、社会的な問題に発展。その対策としてノイズ対策部品の地位が高まっている。スマホやタブレットPCでは、超小型のノイズ対策部品の新製品開発が活発化。太陽光発電、インバータの普及に伴う大型ノイズ対策部品の必要性も高まっている。また、自動車は、快適、信頼性、安全などをキーワードに車内ネットワークのノイズ対策が重要になってきた。

 ノイズ対策は、電子機器、自動車、機械設備などが、ノイズを発生してはいけない、逆にノイズから耐えられることの両立性実現が必要不可欠。各国ではノイズに関する規制を施行。機器の販売には規制に適合する義務があり、ノイズ対策技術の重要性が高まっている。対策手法の1つがノイズ対策部品を用いるもの。電子部品メーカーが一大事業として取り組んでいるのも中長期的にノイズ対策部品市場が有望であるためだ。スマホやタブレット端末は、携帯電話、ノートPCに比べ、小型で多機能化しているため、より高度なノイズ対策技術が要求される。

 特にLTEは、様々な周波数帯域で採用されるため、LTE端末の開発には、幅広い帯域でのノイズ対策の必要がある。しかもマルチバンド化するために利用周波数が複数化、より高度な対策が必要になる。

 ノイズ対策部品は、積層セラミックコンデンサをはじめ、インダクタ、LCフィルターなどが、1005から0603、さらには0402サイズまで小型化が進展。しかも薄さを要求されることから、厚み1ミリメートル以下の超薄型品が定着化してきた。フェライトビーズでは、次世代サイズとして0201サイズが開発された。

 LCフィルターは、最近では薄膜タイプでの品揃えが充実してきた。これは高速差動伝送ラインの対策で有効になるためで、薄膜コモンモードフィルタでは、0.45×0.3×0.23ミリメートルサイズまで小型化した。

 ノイズ抑制シートは、ノイズの発生源や伝搬路に貼るだけで、効果的にノイズを抑制する。磁性体シートと非磁性体シートが開発されている。厚さ25μ―1mmの極薄シートで軽量。

 太陽光発電ではパワーコンディショナという電源が用いられる。ノイズフィルターは、このパワーコンディショナを挟んで発電パネル側のDC側ノイズフィルター、系統(負荷)側のAC側ノイズフィルターが用いられる。

 DC用は、ソーラーパネル側への電導ノイズを抑制し、パネル側からの高周波ノイズ放射を低減する目的で使用される。一方のAC用はインバータへのノイズ、商用電源へのノイズを抑制する目的で使用される。

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業界最小サイズの社債LAN用
コモンモードフィルター(TDK)
 箱型パワーラインノイズフィルターは、大電流対応、高減衰特性で小型化が求められている。そのため、材料から部品、さらには回路構成までの最適化を図ったノイズフィルターが開発される。
 自動車は、安全、信頼、快適性などを求めてエレクトロニクス技術による高機能化が進展している。また、EV、HEVといったモーター駆動の自動車の出現で電装化率が飛躍的に高まっている。そこには必然とノイズ源が多く存在し、その対策が必要不可欠になっている。パワートレイン系、車両制御系、ボディー系、情報通信系など、自動車の具体的なアプリケーションごとに最適なEMC環境の構築が求められる。特に電子制御装置(ECU)の搭載点数が増加し、機器間を接続するためのインターフェイスにおけるノイズ対策は必要不可欠。

 代表的な車載LAN規格として採用されているのが、CANBUS、LINなど。車載LANでのノイズ対策で効果を発揮するのがコモンモードフィルター。差動伝送のノイズ対策では、輻射ノイズの抑制、イミュニティの向上という点でコモンモードフィルターが有効とされている。

 コモンモードフィルターは、高性能フェライト材を用いたトロイダルコア、ドラムコアといったコア形状として、精密巻線が施されている。

 車載Ethernet規格向けに業界最高水準のモード変換特性Scd21の高特性を実現し、しかも業界最小サイズの4.5×3.2×2.8ミリを実現したコモンモードフィルターが開発された。

 さらに、車載LAN規格のCANBUS、FlexRay向けに、3.2×2.5×2.4ミリという業界最小サイズで、高耐熱性、高信頼性を実現したフィルターが開発された。−55〜+150℃と広い使用温度範囲に対応しエンジンルーム内など、厳しい環境下での使用を可能にしている。