ワイヤレス通信モジュール

画像1
車載用ブルートゥースモジュール(アルプス電気)

広がる市場、活発な製品開発

 電子部品メーカー各社のワイヤレス通信モジュールへの技術開発が加速している。ワイヤレスモジュールの用途は、スマホ/タブレット端末などのモバイル用途のほか、車載関連、DSC、環境・省エネ関連、ヘルスケアなど広がりをみせている。近距離無線通信の仕様も一段と多様化が進んでいる。各社は、高周波技術や微細回路技術などを駆使し、小型・低消費電力で使いやすい無線モジュール開発に注力している。ワイヤレスモジュールとセンサーの組み合わせによる使い方の提案などにも力が注がれる。

「ワイヤレスモジュールの用途」

 ワイヤレスモジュールの需要は、スマホなどのIT機器の需要増大と、あらゆる産業分野におけるネットワーク化、スマート化の進展により、今後も拡大していくことが見込まれている。

 このため、部品各社は、携帯端末などで培ってきた無線通信技術の、非IT機器用途への応用を推進。車載機器や産業機器、白モノ家電などの市場に最適化させた、Wi―Fiモジュールやブルートゥースモジュール、ZigBeeモジュール、Z―waveモジュール、サブギガモジュールなどの各種無線通信モジュールの開発を活発化させている。

 特に最近は、今後の需要増大が見込まれるブルートゥースの新たな低消費電力仕様であるブルートゥース・ロー・エナジー対応モジュールや、サブギガ帯対応モジュールなどの開発に力が注がれている。

「車載用無線通信モジュール」

 車の安全性向上や快適性向上、さらに、将来の自動運転化などの実現に向け、車載用無線通信モジュール技術の高度化が進展している。

 最近の自動車市場では、車車間/路車間通信へのニーズが高まっており、これらを実現する新たな車載用無線LAN仕様として、5.9ギガヘルツ対応の「IEEE802.11p」が規格化された。同規格は、高速かつ高い信頼性、高いセキュリティなどの特徴を持つ。

 車載用ブルートゥースモジュールは、制御ソフトウエアまでカバーしたオール・イン・ワンタイプのモジュール提供に力が注がれる。車載用のブルートゥース/無線LAN対応コンボモジュールなどの開発も進み、小型形状かつ信頼性の高いモジュール開発が進められている。

「ワイヤレス通信モジュールの新用途展開」

 ワイヤレス通信モジュールの新用途として、EMS(エネルギーマネジメントシステム)をはじめとする環境・省エネルギー関連市場や、医療機器/ヘルスケア関連市場などが脚光を浴びている。

 HEMS関連では、スマートメーター(次世代電力計)やHEMS端末、白モノ家電、スマートタップなどでの搭載拡大が見込まれており、これらの機器向けに、Wi―Fiモジュールやブルートゥーススマートモジュール、サブギガモジュールなどの提案が進められている。

 医療/ヘルスケア関連でも、無線通信モジュールとセンサーの組み合わせによる見守りサービスへの活用など、提案活動が進められている。

 最近は、DSCへの無線LAN機能搭載により、DSC用無線LANモジュールの需要の増加している。薄型テレビやBD(ブルーレイ)レコーダなどで需要が拡大するRF(電波)リモコン向けに、ZigBee RF4CEプラットフォーム準拠の2.4ギガヘルツアンテナ一体型RFモジュールの製品化も進んでいる。さらに、海外市場を中心に需要が拡大するIP―STB向けリモコン用に、Wi―Fiダイレクト通信用モジュールなどの需要も増加している。ZigBee/EnOceanなどを駆使した照明制御システムなども開発され、無線化による調光用配線の簡略化やフレキシビリティの向上、施工期間短縮/低コスト化などが提案されている。

「無線通信モジュールの小型・高密度化技術」

 部品メーカー各社は、ワイヤレス通信モジュールの超小型化に向け、高機能基板への部品内蔵、微細チップ部品による両面実装、解析技術や構造評価技術などを駆使し、パッケージング技術を追求、従来比で大幅な小型化を図った製品開発を推進している。

 ソフトウエア技術やアンテナ解析技術などを駆使し、最適なモジュール設計を行うとともに、グローバルでの接続検証サポート体制構築、EMC評価センターを活用した評価システムなどにより、顧客満足度向上への体制作りを強化している。