スマホ向け内部接続用コネクタ

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スマホ用の0.35ミリピッチ基板対基板コネクタ

各社、超小型化を追求

 スマホなどの小型携帯端末の薄型高機能化を背景に、コネクタメーカー各社の内部接続用コネクタの一層の微細化追求が進展している。最近は、市場の本格的な立ち上がりが見込まれる0.35ミリピッチのファインピッチ基板対基板コネクタの開発強化の動きが加速している。

 世界のスマホ市場で日本のコネクタ業界は高いシェアを持つ。特に、日本のコネクタメーカーが高シェアを持つ基板対基板コネクタは、多くのメーカーが0.4ミリピッチ品を軸に、低背・狭ピッチ・省スペース製品のラインアップ拡充に力を注いでいる。

 スマホ用基板対基板コネクタの狭ピッチ化は、数年前に主流が0.5ミリピッチ品から0.4ミリピッチ品に移行したが「最近は、市場での0.35ミリピッチ品への移行が始まっている」(大手コネクタメーカー)とされ、今後は0.35ミリピッチ品の本格的な立ち上がりが予想されている。

 このため、コネクタ各社は、0.35ミリピッチ基板対基板コネクタの製品ラインアップ拡充を進めるとともに、需要本格化に照準を合わせた生産体制構築に力を注ぐ。

 コネクタ幅1.85ミリ

 タイコエレクトロニクスジャパンは、0.35ミリメートルファインピッチスケーラブル基板対基板コネクタを販売開始した。接点部には2点接点構造を採用し、衝撃や振動に対する接触信頼性を向上。1.85ミリメートルのコネクタ幅を実現。省スペース性に加え、基板設計の自由度も高く、装置の小型・薄型化に貢献する。PCBパターンを変えずに嵌合高さ0.6ミリメートルから1.0ミリメートルまで対応可能。

 ヒロセ電機は、0.35ミリピッチ・嵌合高さ0.8ミリメートル基板対基板コネクタで、業界最小クラスの奥行き2ミリメートル以下を実現した「BM15シリーズ」を開発した。

 日本モレックスは、0.35ミリピッチ基板対基板コネクタの新製品として、嵌合高さ0.6ミリメートルの超低背タイプ「STシリーズ」の販売を開始している。

 嵌合高さ0.5ミリ

 京セラコネクタプロダクツは、0.35ミリピッチ・少極タイプの基板対基板用コネクタ「5849シリーズ」を開発、販売開始している。嵌合(基板間)高さ0.5ミリメートル、奥行き寸法1.9ミリメートルの超低背・省スペースタイプ。省スペース・少極製品ながら、独自のロック機構により優れたクリック感と保持力を強化。接点部には挟み込み接点形状を採用し、振動や落下衝撃にも強い構造で高い接触信頼性を実現する。

 スマホ内部接続用コネクタは、このほか日本航空電子工業、パナソニック、SMK、ホシデン、ミツミ電機、第一電子工業、日本圧着端子製造、ホシデン、ヨコオなど多くの企業が製品を展開している。

 0.35ミリピッチ基板対基板コネクタは「最近は外資系大手スマホメーカーに加え、一部の中国系有力スマホ企業などでも採用の動きがある」(大手コネクタメーカー)とされ、今後の需要拡大が見込まれる。

 スマホ用コネクタ開発では、小型化に加えてマウンタでの実装やリフロー工程に対応可能な樹脂材料選定なども重要。このため、各社は技術のブレークスルーに向け、新たな材料研究などの取り組みも強化する。