電子部品デバイスより高性能化進む技術革新
自動車や省エネ・新エネ、ヘルスケア関連など事業の領域拡大
人々の暮らしや社会全体がより快適に、スマート化していく時代にあって、エレクトロニクス技術の高度化は重要性を増している。次世代放送技術として注目される4K/8K対応テレビ、スマホなどの最新モバイルコミュニケーション技術、スマートハウス、HEMS(家庭用エネルギー管理システム)、家庭用蓄電池システム、ICT(情報通信技術)を活用したクラウドサービスやセキュリティ、ITS(高度道路交通システム)やテレマティクス、EV・PHVなどの次世代自動車など、スマート社会を支えるアプリケーションが広がる中で、電子部品・デバイス技術はより広範な領域に照準を合わせ高度化を加速させている。
<今年の電子部品・デバイス技術開発動向>
電子部品・デバイス各社は、既存エレクトロニクス領域での事業拡大に加え、自動車、省エネ/新エネルギー機器、社会インフラ、医療/ヘルスケア関連などに照準を合わせた技術開発を強化、コア技術を活用した新事業創造に全力を挙げている。
自動車関連では、世界的な普及・拡大が見込まれる電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などの次世代自動車の進化をサポートするデバイス技術が期待される。高電流・高電圧対応部品やモジュール、車載情報通信系デバイスなどの新技術・新製品が重要となる。
モバイル端末関連では、高機能化により一段と高密度化が進むスマホ用の超小型高性能部品や今後の市場本格化への期待が高まるウェアラブル情報端末(腕時計型端末、眼鏡型端末など)への搭載を視野に入れた微細部品も登場している。
環境/エネルギー関連では、太陽光発電などの新エネルギー機器や、HEMS/BEMSなどの省エネシステムに照準が当てられ、これらのシステムの高効率化に寄与する技術開発が加速している。
医療/ヘルスケア関連では、高周波技術とセンサー技術の組み合わせによる新たなデバイス提案や、情報通信インフラの高速大容量化を支える情報通信系デバイスも、無線・光を含めた技術革新が進む。
<小型・薄型化が進む移動体通信端末向け新技術>
スマホやタブレット端末を主とする移動体通信情報機器の普及に伴い、電子機器の小型・薄型化が進んでおり、それらに搭載される部品にも小型化・薄型化が要求されてきている。SMKは、カメラモジュール用ソケットのリーディングカンパニーとして多種多様の小型・低背化ソケットの開発・量産化をしてきたが、近年においては、さらなる小型化・低背化への要求に応える。従来のカメラソケットの性能を維持しつつ、小型化・低背化を実現するためにインサート成型技術を応用したカメラソケットを開発した。これにより一層の低背化、省スペース化、低価格化の開発を進める。
また、各メーカーの環境問題への取り組みから、環境負荷物質の低減・廃止はもちろんのこと、省資源、省エネルギー化へも配慮し市場ニーズに合わせた開発、提案が重要度を増している。
<実装用途に合わせ多様化するはんだ材料>
回路部品はスマホや高機能モジュールなどの技術進展を背景に小型化し、次世代チップサイズとして0.25×0.125mmの0201サイズ開発が進展する。0201サイズ品の商品化は、マウンタや、はんだ付け装置といった実装システム、さらにはプリント配線板、接続材料など関連技術の進化を促す。また、鉛フリー化が一般化して10年が経過した。鉛フリー化実装技術は導入期から円熟期へと移行しており、目的や用途に応じて材料を選択する時代となった。超高密度実装/低価格実装/車載用高信頼性実装/ボイドフリー実装/半導体実装など様々な用途に「最良の材料を選択できるか」が今後の実装技術のキーポイント。
千住金属工業は、3Dなど半導体パッケージングに目的や用途に応じたはんだ製品を数多く揃える。近年、タブレット端末などモバイル機器や自動車に搭載されるソルダボールには、従来なかった耐熱疲労特性と耐落下衝撃性の両者を同時に求められるようになってきた。この特性は、はんだ材料にとって相反する技術対応であり実在していなかった。千住金属工業は、析出強化制御と界面反応制御技術でソルダボールM770を開発し、相反する技術要求に応える。