コネクタメーカー各社は、次世代成長分野や新規有望分野に照準を合わせた技術開発を加速させている。スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末の薄型・高機能化は搭載コネクタの一層の低背・狭ピッチ・省スペース化を促進する。車載用では、車の電子化やEV化に照準を合わせた製品開発が進展する。太陽電池やLED照明、スマートグリッドなど環境・エネルギー分野への展開にも力が注がれている。高機能、微細化する技術開発の一方で、新たなシミュレーション技術や構造設計など高度なR&Dに力が注がれている。
【超低背・狭ピッチ・省スペース化】
スマートフォンやDSC/DVCなどの高機能携帯型端末の小型薄型化・高機能化進展やディスプレイユニットと基板接続の複雑化などを背景に、機器内部接続用の基板対基板用コネクタやFPC/FFCコネクタへの狭ピッチ・低背・省スペース・多極化要求が一段と強まっている。
そうしたニーズを背景に、超微細化を追求したコネクタの試作が活発に行われ、低背・狭ピッチ・省スペースで、かつ高信頼性実現のため、シミュレーション技術などを活用した高度なR&Dに力が注がれている。
携帯電話/スマートフォンの内部接続用基板対基板用コネクタは、主流が0.4mmピッチ品に移行。各社は多極化や低背タイプのラインアップ拡充に注力している。基板対基板コネクタの狭ピッチ化では、さらに、0.35mmピッチ品の開発・量産化も進展、実装技術への対応などを含めた技術開発に力が注がれる。
その他、FPC接続用コネクタや極細線同軸用コネクタなども、狭ピッチ品の開発が進み、その一方で接触信頼性、機械的強度、作業性などの面で、従来製品と同等以上の性能を確保できる構造設計が必要不可欠となっている。
【車載電装用コネクタ】
高機能化と電子制御化が進む自動車は、コネクタの中長期の成長を支える有望分野として注目される。電気自動車(EV)では、車1台でのコネクタポテンシャルが従来の内燃機関自動車と比較して増大する。さらに、駆動モーターやインバータ、コンバータ、リチウムイオン二次電池まわりや充電インフラ関連など、新たなコネクタ需要が見込まれる。
カーナビ、ETC、車載テレビなど車載機器が多様化し、堅牢かつ小型・薄型で高速伝送が可能な車載情報通信系コネクタとしては、車載アンテナ同軸コネクタやカーナビ用フローティングコネクタ、車内LAN用コネクタなどが製品化され、高速データバス対応などの開発が活発化している。
その他、安全制御系コネクタもエアバックをはじめ着座認識、衝突防止センサー、盗難防止用ディタッチャブルコネクタなどの需要が期待され、EV用急速充電器や車載用リチウムイオン電池モジュール、車載インバータ、DCマイナスDCコンバータ用の大電流/高電圧対応コネクタなどの開発が盛んである。EV充電用コネクタは、普通充電用/急速充電用ともに日系メーカーのシェアが高いが、新たな規格として欧米企業などが推奨するコンボ方式や、中国での独自規格立上げなどの動きもあり、国際標準化をめぐる規格争いに注目が集まっている。
【環境・エネルギー関連用コネクタ】
地球温暖化問題への対応や化石燃料消費削減などのニーズから、クリーンエネルギーとして太陽光発電システムが脚光を浴びている。そこでは太陽電池モジュール間をケーブルでつなぎ合わせるが、作業性から中継コネクタが使用される。
太陽電池パネルモジュール用ジャンクションボックスおよび電源ケーブルコネクタのセットでの供給が推進されており、ケーブルメーカーとのタイアップでの開発が進む。多点接触構造による高接触信頼性や、防水構造により工具なしでケーブルの防水処理が容易に行える作業性などに開発のポイントが置かれ、堅牢構造や材料面からの難燃性も重視される。さらに、小型・細径化に向けた技術開発にも力が注がれる。
また、メガソーラーの需要拡大に伴い、太陽電池で発電する電力を最大限化するための装置であるオプティマイザや故障診断装置など、太陽光発電システム全体の効率を向上させるための様々な関連機器・周辺装置に対応した開発も増えている。
発光ダイオード(LED)を使用したLED照明は、低消費電力・長寿命などを特徴とする環境に優しい照明として市場が拡大した。最近では、LED照明基板間接続のケーブルによるはんだ付けからコネクタ接続への切り替えが徐々に進み、LED照明用コネクタ市場の本格化が期待される。
LED照明用コネクタは、電子機器としての信頼性に耐える高い信頼性が求められる。高輝度化に伴い放熱対策も重要視される。LED電球や蛍光灯型LED、屋外LED看板などに向けた製品開発、新技術応用の展開が進む。