モバイル機器向けデバイス
LTE対応携帯端末の増加やパワーエレ分野でも重要性高まる
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 モバイル機器に向けたデバイス技術の開発が活発だ。特に、世界中で需要が急増するスマートフォンに対し、小型、省電力、高性能を実現するハイエンドデバイスの製品展開が加速している。デバイスメーカー各社は、スマートフォンをはじめとしたモバイル機器市場の進化に照準を合わせた独自性のある新製品・新技術開発を強化している。

 スマートフォンのグローバルマーケットは、ここ数年、業界予想を上回るペースで大きく需要が増加している。11年のスマホの世界需要は5億台弱に達し、12年は7億台前後への拡大が予想されている。グローバルでの携帯電話マーケットも、スマホがけん引する形で成長が見込まれる。

 スマホなどモバイル機器は、端末の数量増に加え、高性能化、高機能化が新たなデバイス需要を生み出している。ディスプレイの大画面化と高精細化、高精細カメラ搭載、ワンセグ受信機能、ブルートゥース内蔵などの高機能化が進み、最近は、オートフォーカス/ズーム機能、電子決済、グローバル通信などの機能が拡充されている。

 また、スマホをはじめとした多くのモバイル機器で、タッチパネル需要も急増しており、モバイル端末用タッチパネルの技術革新が進展。ディスプレイの高精細化やテレビ受信機能搭載などにより内蔵バッテリの長寿命化も急務となっている。端末の耐落下衝撃性へのニーズも強い。端末の薄型化や高機能に対応するため、搭載部品や機能モジュールへの薄型・極小化要求も厳しさを増しており、防塵・防水対策でも厳しい要求がなされている。特に日本仕向けのスマホ/携帯電話は、防水性要求が強い。

センサー搭載数も増え続ける
また、モバイル機器では、センサーの搭載数も増え続けている。スマートフォンでは、CMOSイメージセンサー、加速度センサー、電子コンパス用地磁気センサーなどの標準搭載が進んでいるほか、ジャイロセンサー、デジタル気圧センサー、デジタル湿度センサー、照度センサーなど多様なセンシングデバイスが搭載される。

加速度センサーや、ジャイロセンサーなどのモーションセンサーでは、小型化、低消費電力化とともに、機能の高集積化が進んでいる。加速度検出機能に、ジャイロセンサーを同梱した「モーションセンサー」の普及などが始まっている。センサー後段で、データ処理を行うマイコンの機能をセンサーに混載する技術も登場している。

地球の地磁気を電気的に検出して方位角(磁北)を求める機能を持つ電子コンパスでは、スマホや携帯電話の地図アプリケーションで進行方向に従って地図を回転させるなどの用途に使用される。昨今は小型・高性能で扱いやすい電子コンパス開発が進み、1.6×1.6×高さ0.5ミリサイズの小型品も量産される。端末の薄型・省スペースニーズに対応するため、加速度センサーなどモーションセンサーと複合化した製品開発も進展している。

スマホ/携帯電話用CMOSイメージセンサーも端末の小型化・高画質化・高機能化に照準を合わせた技術革新も進んでいる。従来の赤青緑画素に白画素を加え、高度なデバイス技術と信号処理を付加することで、暗い部屋や夜でもきれいに撮影できる機能や逆光でも色鮮やかに撮影できる機能など、付加価値の高いセンサー開発が進んでいる。

バッテリ駆動時間延ばす電源関連デバイスも開発進む
モバイル機器のバッテリ駆動時間を延ばすため、電源関連デバイスの開発も進む。モバイル機器では、高効率化、高精度化とともに、部品実装スペースが厳しく制限されるため、電源システムを小型化する技術が同時に求められている。そこで、1つのICパッケージで、複数の電圧の電源を供給できるマルチチャンネル電源ICの利用が拡大している。昨今では、電源系以外の音声処理など信号系アナログ機能も集積したデバイスなども登場している。

さらに、機能複合化の延長として、電源IC周辺に必要なインダクタなどの電子部品をパッケージ内に格納し、効率を高めながら基板実装面積を大きく削減するモジュール型電源デバイスも登場している。

スマートフォンをはじめとしたモバイル市場は、今後もワールドワイドで堅調な成長が見込まれる。デバイスメーカー各社は、モバイル機器市場に照準を当て、積極的なR&Dを推進、端末の高付加価値化に寄与する特徴のある新製品の開発を進めている。