電子回路基板とカード用コネクタ

 スマートフォンやタブレット端末、DSCなど各種高機能端末にメモリーカードスロットが標準搭載されている。カード用コネクタへの技術要求は、薄型化や高速大容量化、高強度など一段と高度化し、カード用コネクタメーカーは多様な要求に対応する技術開発を進めている。プリント配線板は、高性能モバイル端末や環境・省エネ関連分野への技術開発が活発化。市場要求に対応した高放熱基板などの開発や、部品内蔵基板、低温焼結セラミック基板(LTCC)などの技術の高度化が進展している。

「電子回路基板技術」
電子回路基板は、成長分野に向けた新製品、新技術の開発が活発化している。高機能モジュールやモバイル機器では、エニーレイヤー基板の技術が進展してきたが、さらに部品内蔵基板の採用が広がっている。部品内蔵基板は、基板材料としてガラスエポキシ銅張積層板のFR―4グレードを使用するのが一般的。多層化にはビルドアップ工法を用いる。プリント配線板製造プロセス上で、抵抗器やコンデンサ、インダクタなどの受動部品、さらにはWLP(ウエハーレベルパッケージ)やベアチップを基板に内蔵。その上部全面に配線層が設けられ、ICチップやICパッケージ、または抵抗器やコンデンサなどの受動部品を3次元実装するもの。

一方ではEV、PHVといったエコカー、産業用ロボット、太陽光発電、風力発電など、大電流に対応したプリント配線板の開発が活発化してきた。一般的なプリント配線板の回路厚みが35μm内外であるのに対して、100―500μmという銅厚の回路を形成することで大電流への対応を可能にしたものが厚銅プリント配線板。大電流や高電圧などの電気的な負担が大きい回路において、縦方向に厚みを持たせ、回路幅を狭くでき、電子機器の小型化にも効果を発揮する。また、アルミ、銅ベースといったメタル系基板との組み合わせによって、大電流対応と高放熱対策を同時に実現でき、様々なパワー回路での適用が広がっている。

FPCは、両面微細タイプや多層板、屈曲性に優れたFPCなど、技術的に高難易度化してきた。微細化を要求する分野に対しては、セミアディティブ工法によって、片面最小ピッチ25μm、両面最小ピッチ30μmを実現している。ロールtoロールでの量産が可能だ。

FPCの魅力は薄型化。4層板で0.19ミリメートル厚が可能になった。また、6層中空フレクスボードでは、総厚0.5ミリメートルを実現している。このほか、高放熱FPCとしては、FPCとアルミおよび銅といったメタルコア基板を張り合わせることによって耐熱特性を確保。LED照明の様々な設計を可能にしている。

「カード用コネクタ技術」
メモリーカードは、NAND型フラッシュメモリーを使用したストレージメディア。半導体のため小型・軽量で、読み込み/書き込み速度がHDDなどに比べ高速で、物理的に丈夫なため、モバイル用途に適している。

超微細加工や高密度パッケージ技術の進展で大容量化が進み、最近はギガバイトクラスのカードでも低価格化が進んでいる。

メモリーカードには、SDカード、メモリースティック、CFカードをはじめ多くの種類がある。近年は携帯電話に適したマイクロSDカードなどの超小型カード需要が拡大している。

さらに、スマホやタブレット端末の認証用カードは、SIMカードのほか、小型のマイクロSIMカードの搭載も増加している。

データ通信量の増大に対応するため、カードの大容量化や高速伝送化のための技術革新も加速しており、記憶容量が最大2TB(テラバイト<1テラ=1兆>)、データ転送速度が最大300Mbpsまでの拡張が予定される次世代メモリーカード仕様「SDXC」などの規格も策定されている。

メモリーカード用コネクタは、カスタム的な要求が強く、コネクタ各社は各種カード仕様に準拠したコネクタのバラエティ拡充に力を注いでいる。小型薄型化に加え、操作性を考慮したカード排出(イジェクト)、カード脱落防止、無理抜き防止機構などの機能が付加されている。極限まで薄型化した基板落とし込みタイプなども開発され、薄型かつ十分な強度を兼ね備えた製品開発が進む。次世代カード用では、発熱対策やノイズ対策などの技術の高度化も重視される。

車載用では、固定メモリー用に特化した耐振動・耐衝撃性に優れた構造の車載SDカード用コネクタなども製品化されている。仕様が異なる複数のカードに1つのコネクタで対応できるコンバインコネクタ開発も要求され、プリンタ用の5in1/6in1タイプなども製品化されている。