携帯電話/スマートフォンやデジタルカメラ/DVC、ノートPC/タブレットPCなど多くのモバイル端末にメモリーカード用スロットが標準搭載されている。カード用コネクタへの技術要求は、薄型化や高速大容量化に加え、耐落下衝撃性や複合カード対応などますます高度化している。このため、カード用コネクタメーカーは多様な要求に対応する新製品開発やラインアップ拡充を進めている。
メモリーカード
メモリーカードは、NAND型フラッシュメモリーを使用したストレージメディア。電気を切ってもデータが保持され、書き換えが可能。半導体のため小型・軽量であり、読み込み、書き込み速度がHDD(ハードディスク駆動装置)などに比べ高速で、物理的に丈夫なため、モバイル用途に適している。
超微細加工技術や高密度パッケージ技術の進展で大容量化が進み、最近はギガバイトクラスのメモリーカードでも低価格で購入可能になっている。
メモリーカードには、SDカード、メモリースティック、CF(コンパクトフラッシュ)をはじめ多くの種類がある。近年は携帯電話/スマートフォンへの搭載が加速し、携帯電話に適したmicroSDカードや、メモリースティックマイクロ、MMCマイクロなどのクォーターサイズの超小型メモリーカード需要も拡大している。さらに、スマートフォンやタブレット端末などの新情報端末では、認証用カードとして、従来のSIMカードに加えて、小型化を追求したmicroSIMカードも搭載が拡大している。SIMカードにフラッシュメモリーを付加したMegaSIMカードなども開発されている。
情報通信量の増大に対応するため、メモリーカードの大容量化や高速伝送化のための技術革新も加速しており、記憶容量が最大2テラバイト(1テラ=1兆)、データ転送速度が最大300Mbpsまでの拡張が予定される次世代メモリーカード仕様「SDXC」などの規格も策定されている。
カード用コネクタの種類
カード用コネクタは、カスタム的な要求が強い製品。このため、コネクタ各社では、各種カード仕様に準拠したメモリーカード用コネクタのバラエティ拡充に力を注いでいる。小型薄型化に加え、操作性向上のためのカード排出(イジェクト)、カード脱落防止、ハーフロック、無理抜き防止機構などの機能が付加されている。厚さを極限まで薄型化した基板落とし込みタイプや、耐振動、耐温度特性を考慮した車載用も開発されている。特に最近は超薄型化と信頼性の両立が大きなテーマ。薄型ながら十分な強度や耐落下衝撃性を兼ね備えた製品開発が進展している。
携帯電話用の超小型カードであるmicroSDカードは、従来のSDカードスロットで使用する場合、専用のカードアダプタが必要となる。このアダプタは超小型メモリーカードに同梱されるため、コネクタ各社では対応アダプタの開発にも力を注いでいる。同様に、メモリースティックファミリーではメモリースティックマイクロ用アダプタの開発が進んでいる。
大容量化や転送速度向上に向けた次世代カード仕様策定も進み、これらに照準を合わせた発熱対策やノイズ対策を考慮したメモリーカード用コネクタ開発にも力が注がれている。
車載用では、固定メモリー用途に特化した、耐振動・耐衝撃性に優れた構造の車載SDカード用コネクタなども製品化されている。
メモリーカードは種類が多いため、リーダー/ライターやプリンタ、ノートPC、デジタルフォトフレームなどで利用する場合、各種のカードに対応するスロットが必要となる。このため、仕様が異なる複数のカードに1つのコネクタで対応できるコンバインコネクタ開発も要求され、携帯端末用の2in1/3in1タイプや、プリンタ用の5in1/6in1タイプなどが製品化されている。
PC関連では、PCカードの新世代仕様であるPCI Express対応コネクタの開発が進む。このカードスロットは業務用のノートPCで普及が進み、市販モデルでも搭載機種が増加している。