電子機器の小型・高性能化に伴い、コネクタ技術の高度化が進展している。携帯電話/スマートフォンなどのモバイル端末の薄型・高機能化は、搭載コネクタの一層の低背・狭ピッチ・省スペース化を促進する。薄型テレビやPCの液晶接続用コネクタは、高精細化や高速伝送化に対応する技術開発が活発。産業用の高速伝送対応/高耐圧対応コネクタの技術開発も進む。車載用では電気自動車などの電池まわりなどに照準を合わせた製品開発が進展。
このほか、太陽電池やLED照明、スマートグリッドなど環境・エネルギー分野への展開に力が注がれている。
コネクタ各社は、これらの成長・新規分野に向け、積極的なR&Dを推進する。
「スマートフォン/タブレット端末用コネクタ」
携帯電話/スマートフォンやノートPC/タブレット端末などのモバイル機器は、小型・薄型化に加え、多機能化とディスプレイの高精細化により高密度実装化が進んでいる。表示画面の大画面化も部品へのスペースセービング要求を強める。
このため、端末内蔵用コネクタは、低背・狭ピッチ・省スペース化が要求され、携帯電話用の基板対基板用コネクタは、極間隔が0.4ミリピッチ品に移行、FPC接続用コネクタでは0.3ミリピッチ品が主流となりつつある。高さも0.8ミリメートル、0.9ミリメートルなどの低背品が登場している。LCD接続用の細線同軸用コネクタも、0.3ミリピッチ品が本格化し、0.25ミリピッチ品も製品化された。
携帯電話の薄型化に向け、高さ0.65ミリメートルのFPCコネクタや高さ0.5ミリメートルの基板対基板コネクタなどの試作も進んでいる。最近は、高機能なスマートフォンにおいても、搭載コネクタへの薄型・省スペース要求が強まりつつある。
「デジタル家電用高速デジタルインターフェイスコネクタ」
薄型TVやブルーレイ(BD)などに搭載されるデジタルインターフェイスコネクタは、インピーダンス整合をはじめ、コネクタメーカーに高周波技術をより強く求めている。
薄型テレビ向けでは次世代インターフェイス「V―by―One HS」(最高速度3.75Gbps)に対応した次世代高速信号用FPC/FFCコネクタの開発が活発。独自のインピーダンス調整を行った端子構造採用により、周波数特性を向上させ、V―by―One HSへの適合を1ピース構造のコネクタで実現した製品の開発などが進む。
HDMI(ハイ・ディフィニション・マルチメディア・インターフェイス)規格対応コネクタのラインアップ拡充にも力が注がれ、ライトアングル、バーチカルのほか、こじり強度向上、取付けの高さ方向バリエーションなどの開発が進んでいる。USB関連では、USB3.0対応コネクタの製品化も進展している。
「カーエレ/車載電装用 コネクタ」
車載用コネクタは、カーエレクトロニクス化の進展により、中長期での成長が期待される。カーナビ、ETCなどの情報通信系では、小型・薄型かつ堅牢で高速伝送に適したコネクタが求められている。アンテナ同軸やカーナビ用フローティングコネクタ、さらにMOSTなど車内LAN用コネクタの開発が進む。
安全制御系コネクタも需要拡大が見込まれ、エアバッグをはじめ、衝突防止センサー、盗難防止用デタッチャブルコネクタ、車載カメラモジュール用コネクタなどの開発が活発。
電気自動車やプラグインハイブリッド車(PHV)などのエコカー関連では、インバータやバッテリー周りに使用される高圧コネクタや、急速充電インフラ用コネクタなどの研究開発が活発化している。
「LED照明用コネクタ」
発光ダイオード(LED)を使用したLED照明は、低消費電力・長寿命などを特徴とする環境に優しい照明として普及拡大が見込まれている。
LED照明技術の進化に伴い、最近はLED照明器具の基板間接続をケーブルによるハンダ付けからコネクタ接続への切り替えなどが進みつつあり、LED照明用コネクタ市場の本格化が期待されている。
LED照明用コネクタは、従来型の照明用コネクタに比較し、電子機器としての信頼性に耐える高い信頼性が求められる。高輝度化に伴い放熱対策もより重要視される。コネクタメーカーはこれらのニーズに対応する専用コネクタ開発を強化、LED電球や蛍光灯型LED、屋外LED看板などに向けたバリエーションの拡充が進展している。