回路保護用部品 

目覚ましい技術進展
電子機器や自動車などの安全・信頼性確保に必要不可欠

 回路保護用部品の技術進展が目覚ましい。ICの低電圧駆動によって、雷サージおよび静電気(ESD)、温度変化、過電圧および過電流、外来ノイズなどの影響を受けやすくなっている。回路保護用部品は、安全、信頼性を確保する上で、必要不可欠なデバイスとしての地位を高めており、環境、省エネなどの新しい用途を含めて、各種電子機器や自動車向けに新製品開発が活発化してきた。

 HEV/EVといったエコカーにおいてはエレクトロニクス化が一段と進展し、回路を保護するデバイスの存在が大きくなる。雷サージおよびESD対策用のサージアブソーバの新製品開発が進展している。

 ラジオ、ETC、VICS、さらにはGPS、ワンセグTVなど様々な無線通信の搭載によってアンテナ用雷サージ対策が要求される。また、ECU(エンジン制御ユニット)での高信頼性サージアブソーバのニーズが高まっている。ECU用については、ECUのエンジンルーム内への搭載化によって耐熱性に優れていること、さらにはECU自体の小型化によって、高密度実装化が進展。必然的にサージアブソーバに対しても小型化が強く要求されるようになってきた。

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チップアブソーバ、2×1.25ミリサイズが登場
 チップアブソーバは、自動車のECU向けに3.2×1.6ミリメートルサイズをさらに小型化した2×1.25ミリメートルサイズが登場。マイクロギャップ方式を利用した放電管タイプのチップタイプでは1pF以下(実力値0.2pF)の低静電容量を実現し、高周波・高速信号ラインでのESD対策に対応。また、自動車向けは車載ESD規格であるISO10605規格に準拠した接触25kVの放電電圧に対応(330pF・2kΩ)している。

 スマートフォンなどの携帯機器は、電力消費を抑制して機器の稼働、動作時間を延ばすためのICを動かす電圧の低電圧化技術が進展している。この結果、高い電圧を持つ静電気(ESD)に対しては従来以上に影響を受けやすい環境にあり、機器の誤動作や素子のダメージにつながるため、より適切なESD対策が要求されている。

 チップバリスタは、モバイル機器における高密度実装化に進展を背景に小型化してきた。1608サイズ、1005サイズ、さらに、0603サイズへと小型化シフト。現在、携帯電話のESD対策では、0603サイズのチップバリスタが多く使用されるようになった。

 そうした中で、新たにEMIフィルター機能が付いたBGA型チップバリスタが登場した。1チップで可能な限り多くの処理能力を持たせるために、30素子を1チップに入れ込み、10ラインのESD対策とEMI対策を同時に可能にしたもの。しかも、サイズは2.6ミリメートル角×0.65ミリメートルと小型。

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 環境、省エネ化に伴い温度の検知、保証、監視などはより重要になっている。サーミスタでは、エコカーやエコキュートなどでは高温度対応という新市場に対応して、ガラスコートタイプでは、900℃対応や1000℃対応の高温用サーミスタ、さらには450℃対応のワイドレンジタイプなどが開発された。

 また、チップサーミスタもこれまでの高温度用として125℃対応などが一般的だったが、新たに150℃対応チップサーミスタが量産されるようになった。さらにチップサーミスタでは、高精度化ニーズに対応して、マイナス40―プラス100℃での温度精度が±0.5℃となる世界初の抵抗値許容差±0.5%、B定数許容差±0.3%を実現した。

 白金薄膜温度センサーは、2×3ミリメートルサイズの角板状センサー部にリードをラジアル溶接した形状で、抵抗温度係数がJIS、IEC規格に準拠しており、抵抗値は100Ω―1KΩ、JIS規格のクラスA相当品がある。精度が高く、長期安定性に優れるため、半導体設備や計測機器などで利用されている。また、JIS規格のクラスB相当品ではあるが、抵抗値100Ωで使用温度上限650℃といった高温タイプもある。

 チップタイプでは3216サイズ品があり、抵抗値100Ω、500Ωで許容差±0.2%などが提供されている。使用温度の上限は155℃だが、製品によっては155℃/1000時間/1mAの連続高温負荷で抵抗値ドリフト保証が0.5%と優れており、AEC―Q200データの提示が可能な車載向け製品がある。

 電流検出用途に向けた低抵抗チップ抵抗器はモーター回路や電源回路での採用が活発化し、需要が増加基調にある。小型で、十分な定格電力を確保しつつ、超低抵抗値を実現するために、厚膜、薄膜、さらには金属箔、金属板といった様々な抵抗素子が用いられるようになった。その中で、特に金属板チップ抵抗器の品揃えが充実。様々な電流検出用途で採用が広がっている。