特集:カード用コネクタ技術(ホシデン)

■超小型メモリーカード用コネクタの技術
 携帯電話機、DSCなどに搭載されている各種小型メモリーカードの市場は拡大を続け、メモリー容量の増加と小型化を実現した超小型の新規格カードが市場展開されている。それに伴い、超小型新規格カード用のコネクタと新規格カードを既存のカードサイズに変換するカードアダプタの需要が増加している。

  ホシデンでは以下の超小型新規格カード用コネクタとカードアダプタについて技術開発に取り組んでいる。

■超小型新規格メモリーカード用コネクタの開発状況
 過去、ホシデンでは多くのカード用コネクタの開発、量産を行い、実績を積み重ねてきた。これらの経験を踏まえ、新規の超小型メモリーカードであるmicroSDカード用コネクタやカードアダプタの開発を積極的におこなっている。

■microSDカード用 コネクター
  microSDカード用コネクタは、すべてプッシュプッシュイジェクト方式のSMTタイプで、独自のカード飛び出し防止機構、カード逆挿入時のコネクタ破壊防止機構を採用している。

◇CCD1350シリーズ(写真1)
  ノーマルマウントスイッチなしタイプ。金属ケースと一体化したハンダ付け補強端子を活用し、省面積化を実現している。



◇CCD1360シリーズ(写真2)
  ノーマルマウントスイッチ付きタイプ。
  カード挿入時にONとなるカード検出スイッチはカード外形のばらつきに左右されず、接触部はワイピングにより、セルフクリーニングをおこなう独自の方式を採用した。
  厚み1.7mm、幅13.8mmとスイッチ付きでありながら超小型化を実現している。



◇CCD1361シリーズ(写真3)
  リバースマウントスイッチ付きタイプ。
  コネクタ厚みを1.85mmとし、実装高さ(低背化)を最優先している。

■microSD、miniSDカード アダプタ

◇CCD1183シリーズ(写真4)
microSDカードをSDカードに変換するカードアダプタ。SDA規格に準拠したSDカード形状であり、通常のSDカードとしてmicroSDカードが使用できる。



◇CCD1184シリーズ(写真5)
microSDカードをminiSDカードに変換するカードアダプタ。microSDカードを既存のminiSDカードとして使用できる。



◇CCD1180シリーズ(写真6)
  miniSDメモリーカードを挿入し、既存のSDカードとして使用可能である。



■カード用コネクタの設計ポイント
  カードの超小型化に伴い、カード用コネクタも小型・軽量化となっているが、携帯電話機への搭載が多いこともあり、カードやコネクタの大きさに関係なく、コネクタには厳しい機械的、電気的性能が求められる。

  ホシデンでは市場での実使用状態を想定した検討・評価を繰り返しおこなうとともに、設計において以下の工夫をおこなっている。

◇カード飛び出し防止機構
  カードが高容量(高価格)かつ超小型となり、携帯電話機からの不意のカード飛び出しが、カードの破損や紛失などの損害を招くことから、コネクタ内に独自のカード飛び出し防止機構を採用している。

◇カード逆挿入防止機構
  コネクタにカードを挿入する際に、カード挿入方向を間違えることも多くなっていることから、カードを誤挿入した際にも、コネクターやカードが簡単に破壊しないカード逆挿入防止構造を採用している。

■カードアダプタの設計ポイント
 カードアダプタは、内部に超小型カードを接続する接点構造を持ち、外形寸法などの製品性能としては各カード規格を満足する必要がある。カード用コネクタを作る立場としては、カードアダプタの外形寸法は規格基準値を狙い、全体のソリやゆがみを抑えなければならない。

  一方、カードアダプタに挿入する超小型カードは、カードアダプタの厚みに比べて相対的に厚いため、どうしてもカードアダプタ外形(厚み)は大きくなる方向となる。

  このように、カードアダプタの開発には内部の超小型カードの接触を安定させながらカードアダプタ自体の規格を満足させるために、さまざまな工夫が必要である。

◇薄肉モールド、金属材料の活用
  カードアダプタは、カード厚み方向に設計余裕がなく、構成部材には薄肉モールドや金属ケースをうまく活用し、最適な接合方法を採用する必要がある。

◇内部コンタクトの設計
  超小型カードを接続する内部コンタクトは、線形・非線形の応力解析ソフトを設計時に活用し、限られたスペースの中でも高い接触信頼性を実現している。

■今後のカード用部品への取り組み
  ホシデンではカード用コネクタ、カードアダプタの開発に際し、既存技術の応用や新素材、新加工方法の導入に積極的に取り組んでいる。今後も新規格カード用コネクタやカードアダプタなど、その時代のニーズに合わせた製品開発を継続していく予定である。

  <中井保夫:ホシデン(株)研究開発部 MMI研究室>