携帯機器用燃料電池向けマイクロポンプとマイクロバルブ



携帯機器用燃料電池向けマイクロポンプ(左)とマイクロバルブ

アルプス電気は、次世代エネルギー源として注目を集める燃料電池に組み込まれる、携帯機器用燃料電池向けの「マイクロポンプ」と「マイクロバルブ」の開発を進めている。

燃料電池は、化石燃料やそのほかの燃料に比べ、二酸化炭素の排出量が格段に少なく、環境保全の側面からも、新しいエネルギー市場として今後が期待されている。燃料電池の用途は(1)燃料電池自動車向け(2)発電する給湯器など、家庭用コージェネレーション向け(3)ノートPCや携帯電話など、携帯機器用向け―の3種類がある。特に、多機能化や高機能化が進む携帯機器では、電力の消費がますます大きくなる傾向にあり、電池切れなどの問題をクリアするために、より長く使用可能な電源の確保が大きな課題となっている。

同社では、携帯機器用燃料電池市場をターゲットに、燃料電池システムの中で、燃料となるメタノールなど、液体をシステム内に送り出す、または制御する補機としてのポンプやバルブの開発を通して、新しいエネルギー市場への取り組みを開始している。

■設計を最適化

開発品は、メカトロニクス製品の開発で長年培った構造解析シミュレーションなど、機構設計技術や制御技術による最適化設計、および精密加工技術によって小型化を図っており、マイクロポンプは、直径6.0×長さ24.0ミリメートル、マイクロバルブは、直径3.5×長さ10.3ミリメートル(ノズル部を除く)を実現した。流体・構造・磁場解析シミュレーションを取り入れ、小型ながら高い機能性を確保している。これにより、携帯機器用燃料電池システムの必須条件の1つである小型化に貢献する。

開発品のマイクロポンプは、ダイヤフラムの動作、および液体の逆流防止のための形状、材料、配置などの最適化設計により、小さな筐体の中で効率良く、より多くの流量の制御を実現している。

また、自吸式(配管内に液体が充満されていない状態での揚液)で、低電圧の電磁駆動方式を採用しているため、制御が容易であり、燃料電池システムの設計に貢献する。

マイクロバルブも同様に、最適化設計などにより、小型ながら確実な流路の遮断を行う構造を実現し、高い信頼性を確保している。

用途は、ノートPC、携帯電話、DVCなど携帯機器向け燃料電池、液冷システムなど。開発は、コンポーネント事業部古川工場(宮城県古川市)で行う。

・マイクロポンプ
製品名 マイクロポンプ
外形サイズ
(φ×L)
6.0mm×24.0mm
ポンプ方式 電磁駆動式
定格流量 4ml/min
(10Hz/2kPaにおいて)
定格電圧 DC3V
・マイクロバルブ
製品名 マイクロバルブ
外形サイズ
(φ×L)
3.5mm×10.3mm
(ノズル部:8.5mm×8.5mm×3.0mm)
ポンプ方式 電磁駆動式
定格流量 40kPa
定格電圧 DC12V