不揮発性メモリーである「フラッシュメモリー」は、大容量化が用意で、データストレージ用に使われるものにNAND型と、高速な書き込み読出し性能に優れるNOR型が合う。 NAND型は、SDカード、コンパクトフラッシュ、メモリースティックといったメモリーカードやUSBメモリーに搭載される。これまで、携帯電話やデジタル機器の普及とともに市場は拡大。04-05年からは「iPODなの」に代表される携帯デジタルオーディオの世界的な需要拡大が、NAND型メモリーの急成長につながっている。 06年以降もメモリーカードや携帯デジタルオーディオといった用途で、NAND型に対する大容量化ニーズが高まり、数量的にも05年に続いて、急進すると見られる。 一方のNOR型メモリーは、高速処理、高信頼という性能面から、機器のプログラムコードを収納する"組込み型メモリー"としてデジタル家電、産業機器などマイクロコンピュータを搭載する幅広い分野で採用されており、今後は多くマイコンを搭載する自動車分野での採用も見込まれる。 ただ数多くあるNOR型の用途のなかでも、携帯電話では、プログラム量が極めて多く、大容量メモリーが数多く使用される主要アプリケーションとなっている。 ただ、近年は、高速処理対策のNAND型メモリーの開発が進められ、携帯電話の格納用途でも大容量が必要とされる場合はコストメリットの多いNAND型の採用が進んでいる。 NAND型が使われるアプリケーションが増えてきた事で、NOR型に注力してきた半導体メーカーが、NAND型に参入を表明する事も最近の傾向だ。 04年-05年にNAND型市場への参入表明を行ったメーカーまたは製品発表を行ったメーカーは、STマイクロエレクトロニクス、スパンション、インフォニオンテクノロジーズ、マイクロンなどがある。 05年11月にはNOR型フラッシュメモリーに特化してきたインテルがマイクロンと共同出資し、NAND型フラッシュメモリー製造のベンチャー「IMフラッシュ・テクノロジーズ」を設立。両社はそれぞれ12億ドルを投じ、今後3年間で14億ドルずつ追加投資を行うほか、事業の成果に応じ、さらに投資額を拡大する計画。新会社の出資比率はインテル49%、マイクロン51%。 生産はマイクロンの既存の施設を使用。生産するNAND型フラッシュはインテルとマイクロンに独占的に供給。両者はそれぞれ、iPODを展開するアップルに提供する契約を締結している。 NAND型で世界シェアトップの韓国・サムスン電子も生産増強、容量拡大に向けた微細化プロセス導入を目的とした投資を継続。05年9月には世界初の50ナノプロセスを採用した16ギガビット品の商用化に成功している。 同社の半導体事業統括の黄昌圭は「NAND型に搭載されるトランジスタは1年で倍増する」といういわゆる「黄の法則」を提唱。99年の220ナノメートルプロセス256メガビットからスタートし、05年まで6年連続で法則を実証。順調に行けば06年は、40ナノメートルプロセスによる32ギガビットが商用化される。 東芝は、米産ディスク者と連携した設備投資を行う。主力の四日市工場の300ミリウエハーラインの生産ペースを順次引き上げ、最終的には300ミリウエハーで月産10万枚を狙う。 05年夏から70ナノメートルプロセス品の生産を開始するなど微細化も積極的に進め、06年中には55ナノメートルプロセスによる生産が見込まれる。 また、同社は微細化と平行して、1つの同じ面積のメモリーセルに2ビットのデータを記録できる「多値技術」の開発に取り込み、先行している。多値技術により1チップのメモリー容量は2倍となり、擬似的にセル面積が半分になったことになる。 |