タイコ エレクトロニクス パワーシステムズは、AC-DC、DC-DC電源メーカーとして、高い品質と最先端の技術を持ち、業界で確固たる地位を築いている。これは電話の発明を起源として、100年を超える実績がもたらすものである。 当社は、NP Series、 CPS6000、Fiber to the Node、YUKON、 GALAXY といった、24ボルトや48ボルトで最大10000アンペア出力のキャリア向け電源システム製品を提供している。 また、ボード内で24ボルトや48ボルトから接続されるPOLコンバータや、PIM200といったATCAモジュールもラインアップする。ここで紹介するPIM200は、ATCA PICMG3.0仕様に準拠した業界初のパワーインプットモジュールである。 ATCA(Advanced Telecom Computing Archi−tecture)は、PICMGによって策定された最新の業界標準仕様である。ATCAには高速配線技術や次世代プロセッサ、信頼性、管理、サービスに関する最新のトレンドが盛り込まれており、通信用の最適なボードとシェルフが示されている。ATCAは、キャリア向け通信機器用にモジュール式のプラットフォームを定義し、通信機器市場に対し標準化や汎用品による利点を提供、その結果、アプリケーションレベルでのソフトウエアによる差別化を可能としている。 通信業界の低迷において、ATCAは市場への投入時間を低減し、選定可能な業者を増加させ、複数スイッチ構造やユーザー定義I/Oのサポートといった顧客にとっての全体的なコストダウンを提供したため多くの支持を得た。標準ハードウエアの組み込みにより開発コストは低減され、顧客はアプリケーションとシステムレベルのソフトウエアにフォーカス可能となった。 ATCA PICMG3.0仕様は、主要な部品メーカーと通信機器メーカーの協力で策定された。この仕様は、シェルフ、架、バックプレーン、ハードウエア、ソフトウエアインターフェイス、電源、冷却についてシェルフとボードレベルで規定している。個別のATCA対応システムは、これらのPICMG3.0の要求を満たし必要な試験を実施済みでなければならない。 当社は、通信機器用電源の業界のリーディングカンパニーとして、業界初のATCA対応パワーインプットモジュールを発売した。PIM200はATCAボードに完全なパワーマネジメント機能をもたらす。小型で革新的な設計により、ディスクリートソリューションと比較してもボード占有面積や汎用品の使用といったメリットをもたらす(図1、2)。 〔図1〕PIM200のブロック図
出力電力は最大200ワット、入力電圧は-38〜-75ボルトであり、-48ボルト/-60ボルトいずれの給電系にも使用可能である。PIM200はATCA PICMG3.0に規定されるすべての機能要求(突入電流保護、MOSFETによるOring機能、CISPRクラスBを満たすEMIフィルタ、活線挿抜、入力低電圧、過電圧保護)が含まれる。モジュール端子は、スルーホールと表面実装の2タイプがある。 また、RoHS(2002/95/EC)指令を満たす。他の機能として、A/Bロス警告、72ボルトチャージ機能、IPM駆動用の5ボルトまたは3.3ボルト(8ワット)の補助電源を内蔵する。 ATCAボードのパワーマネジメントと回路設計は、PIM200モジュールを用いると、ディスクリートソリューションと比較してはるかに単純になる(図3)。 〔図3〕アプリケーション回路 モジュールに2、3の外部部品を加えるのみで完成するため、ディスクリート設計に比べて、レイアウト、デバッグ、試験、認定などをスキップ可能であり、開発時間を劇的に短縮可能である。EMI部品の選定や配置は基板設計の完了を待つまでもなく、モジュールレベルで確認されており、設計初期での対応が可能である。また、エネルギー保存用コンデンサとフィルタコンデンサを分離して、起動時の活線挿抜FETのストレスを低減している。ユーザーの最適設計のため、熱ディレーティングカーブと基板推奨レイアウトはデータシート内に記載されている。 PIM200は、外部のホールドアップコンデンサに72ボルトをチャージする機能がある。この72ボルト出力に1500μF/80ボルトのコンデンサを付加してATCAの0ボルト/5ミリ秒ダウンタイム過渡要求に対応する。通常は、計算上6000μF/100ボルトが必要となることを考えると、PIM200の使用によって、基板面積と部品コストを低減できることになる。1500μFコンデンサは、PICMG3.0の要求である5ミリ秒のダウン時間に加えて43ボルト以下での電圧降下(0.86ミリ秒)と上昇(3.44ミリ秒)もサポートする。小容量のコンデンサのため、コンデンサ放電用のブリーダ抵抗は小さいもので済む。 また、高効率(97%typ.)を実現するため、ダイオードでなくN-MOSFETによるOringを行っている。8ワットの絶縁補助電源はボード内の給電用として使用される。アラーム機能も仕様で規定されるように、入力線やヒューズが失われた際にIPMに対して信号を発する。突入電流制御と活線挿抜機能は、システムレベルでの仕様変更によるボードのアップグレードの際に使用される。なお、PIM200はATCAアプリケーション以外にも使用することが可能である。
ATCA対応の100ワット以上のボードにおいて推奨されるアーキテクチャは、中間バスアーキテクチャ(IBA)である。IBAは拡張が容易で高効率、低コストを提供する。このアーキテクチャは、ボードレベルでのトータル電源コストを開発時間の短縮によって50%程度節約、設計の優位性も提供する。コスト低減に加えて高いバス電圧による低損失を実現する。 〔図4〕低コストを実現するPIM200のパワーアーキテクチャソリューション これは熱特性の最適化や様々な負荷要求に応じたPOLとの組み合わせにおける柔軟性・拡張性を可能とする。IBAをサポートするため、タイコエレクトロニクスは要求仕様に合わせたいくつものバスコンバータファミリーを標準1/8ブリック、クォータブリック、ハーフブリックサイズで取り揃えている。 <タイコエレクトロニクスアンプ(株)パワーシステムズ事業本部>
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