三菱電機は「マイクロウェーブ展2004」では、同社単独ではなく、グループとして例年の2倍となる4小間の展示スペースに出展する。
今回、力を入れるのは、「WマイナスCDMA電力増幅器モジュール」と、今月1日に発表された「次世代超高速無線LAN装置」。
衛星、航空機、車両など幅広い分野で活躍する同社のデバイス、コンポーネント、システムを展示する。
主な出展製品は、次のとおり。
・航空機搭載用Ku帯衛星
・Ku帯高効率高出力増幅器
・S帯薄型アンテナ
・移動体通信用パワーアンプ
・ミリ波通信装置
・DSRC応用車載器
・次世代超高速無線LAN装置
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<WマイナスCDMA方式携帯電話端末
向け送信用増幅機モジュール>
WマイナスCDMA方式携帯電話端末向GaAs(ガリウム・砒素)HBT(ヘテロ・ジャンクション・バイポーラ・トランジスター)を用い、業界トップの効率50%(出力電圧26.5dBm)を実現した送信用電力増幅器「BA01232」を開発、5月からサンプル出荷に入っている(写真、表1)。サンプル価格1000円。月産200万個を予定。
第3世代の携帯電話端末では、小型、軽量化とともに動作時消費電流の大半を占める送信用電力増幅器の高効率化、小型化が不可欠。さらに、WマイナスCDMA方式では、小出力電力で、使用される場合が多く、アイドル電流(高周波信号がない時の電流)の低減も重要となっている。
新製品は、こうした市場のニーズに対応したもの。モジュール整合回路やトランジスター構造の最適化により、効率50%(従来は47%)と低アイドル電流35mA(同社従来品比70%、動作電圧3.5V時)を実現するとともに、樹脂封止などにより、0.02CCに小型化(同36%)した。
電池の小型化で、端末の小型軽量化や通話時間向上が図れる。
また、従来の金属キャップを樹脂封止に変えるとともに、内蔵チップの小型化や回路レイアウトの最適化により容積0.02CC(4×4×1.2mm)にGaAsHBT増幅器(2段構成)と整合回路を搭載している。
パッケージ内に整合回路を内蔵しており、外部で整合をとる必要もない。
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三菱のW-CDMA電力増幅器モジュール |
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BA01232の主な仕様 |
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<次世代超高速無線LAN装置>
同社と東北大学電気通信研究所付属21世紀情報通信研究開発センター(IT21センター)が、ハイビジョン動画像もリアルタイムで伝送可能な毎秒324メガビット(Mbps)の伝送速度を実現する次世代超高速無線LAN装置を共同開発した。
新装置では、現在の無線LANの6倍のチャネルを用い、さらに適応制御などの導入により、ノイズのないきれいなハイビジョン動画像を伝送できる。
=主な特徴=
(1)1チャネルしか使用していない現在の5Gヘルツ帯無線LANに6チャネル使用することによる無線伝送の大容量化。
(2)時々刻々変化する電波の状況に応じて、使用するチャネル数や伝送するデータ量を最適化する送受信適応制御機能。
(3)データの送受信単位であるフレームを複数束ねて伝送することによるデータ伝送の高効率化を追加することにより6倍の324Mbpsの伝送速度を実現。
なお、試作結果をもとに東北大学から米国のIEEEへ次世代の無線LAN規格として標準化提案を行っている。
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この他の出展製品の概要は次のとおり。
・航空機搭載用Ku帯衛星通信アンテナ サブシステム
――空気抵抗を軽減し、全天ビーム走査が可能な世界初の超楕円形パラボラアンテナを採用し、機体旋回、動揺時にもブロードバンド通信を可能にする高精度衛星追尾システム。
・Ku帯高効率高出力増幅器
――内部整合型高効率高出力FETを低損失回路で合成することにより高出力と低消費電力を両立させ、世界最高性能を実現。
・S帯薄型アンテナ
――準天頂衛星対応の地上端末用S帯受信および送信アンテナ。約3マイナス4mm厚のフレキシブルな薄型で車体に容易に取り付けられる構造。
・移動体通信用パワーアンプ
――同社独創の歪補償技術により、小型で高性能(高効率)特性を実現。
・ミリ波通信装置
――免許が不要な60Gヘルツ帯通信装置。大容量(100Mbps)のデータ伝送が可能。
・DSRC応用車載器
――高速・大容量・多チャンネル通信でマルチアプリケーション対応可能な応用システム。
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