岡谷電機産業は移動体通信や光通信分野などのバイアス(電源供給)回路用のコイルフィルターの品揃えを充実している。広帯域にRF信号を阻止するフィルターとして開発したもの。現在、巻線型チップインダクター「WF/Rシリーズ」、空芯型コイル「WAシリーズ」、円錐型チップインダクター「WDシリーズ」、角型チップインダクター「WEシリーズ」と4種類のコイルフィルターを供給できる体制にある。
(1)巻線型チップインダクター「WF/Rシリーズ」(写真1)
フェライト芯に巻線したシンプルな構造を採用した。サイズは1608と2012の2種で、小型でありながら最大108ミリΩという低抵抗を実現し、1.5―3Aの大電流に対応する。また、高アイソレーション特性を実現している(図1)。
通信機器関係では携帯電話、基地局、無線LAN、各種業務用無線、パーソナル無線などのパワーアンプ段RFチョークに適する。
光伝送機器関連ではFTTHのONU端末(映像系)、幹線系光モジュール、映像機器分野ではCATV、カーナビなど、さらに計測関連ではスペクトラムアナライザーなど、広帯域の周波数範囲をカバーする計測器のバイアス回路に使用できる。
(2)空芯型コイル「WAシリーズ」(写真2)
移動体通信機器の高周波回路や各種ハイパワーアンプの高周波回路に向けて開発した。特に許容電流を大きくするため、構造を空芯型に設計した。周波数特性を図2に示す。直流抵抗は119ミリΩと低抵抗化し、許容電流を5―20Aに大きくして、ハイパワーの高周波回路への適合を図っている。
基板実装への対応では電極位置構造を2種用意した。実装タイプ(L型)と手ハンダタイプ(A型)。リフローハンダ付けに対応する。
(3)円錐型チップインダクター「WDシリーズ」(写真3)
広周波数帯域をカバーするために形状を独自の円錐型に設計したもの。寸法図を図3に示す。
従来の巻線型チップインダクターは共振点以上の周波数ではインピーダンスが急速に低下し、RFチョークコイルとしての効果がでなかった。そこでDC〜数10Gヘルツをカバーするには数個の共振点を持ったインダクターを直列に接続して広帯域を実現していた。
しかし、数10Gヘルツになると数個のインダクターでRFチョークコイルとして構成しても良好な特性が得られない。
円錐型チップインダクターはこれらの問題を解決し、1個のチップインダクターで数Mヘルツ―20Gヘルツの広帯域をカバーすることができる。これによって、従来方式に比べ、回路の小型化及び低コスト化の推進に寄与する。定格電流は200ミリAと300ミリA。電気的特性を表1に示す。
高周波電源バイアス回路のRFチョーク部品で、不要輻射対策(高調波成分のカット)にも有効。具体的な用途は光伝送機器関連では幹線系光モジュール(LDモジュールや光送受信アンプなど)、通信機器関連では各種通信機器の広帯域アンプ段のRFチョークとして、また高周波出力アンプモジュールへの内蔵に適する。さらに計測分野では光測定器、デジタル通信測定器など広帯域の周波数範囲をカバーする測定器のバイアス回路に使用できる。
(4)角型チップインダクター「WEシリーズ」
チップサイズが1×0.5ミリメートルと超小型の角型チップ形状。巻線タイプのインダクターであり、許容電流は300ミリ―1600ミリAで、公称インダクタンスが50―251ナノHと大電流、高インダクタンス特性を有している。アイソレーションは1000Mヘルツで7―20デシベル。図4にアイソレーションVS周波数特性を示す。
特に光伝送機器、通信機器、測定機器、RFチョークコイルなどに最適である。バイアス回路用インダクターにバラエティー化を展開してきたが、引き続きより高周波帯域に対応した新製品の開発を展開していく。その中で特に円錐型チップインダクターを中心に40Gヘルツ対応品の開発に注力する。
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巻線型チップインダクター「WF/Rシリーズ」 |
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アイソレーション対周波数特性 |
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空芯型コイル「WAシリーズ」 |
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周波数特性(代表例) |
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円錐型チップインダクター「WDシリーズ」 |
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寸法図 |
電気的特性 |
アイソレーションVS周波数特性 |
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