センサーの最新技術

アルプス電気・沖電気・セイコーエプソン・日立金属・富士通メディアデバイス・松下電子部品(五十音順)



  ◆3軸加速度センサー
 最近、MEMS(マイクロマシン技術)を使ったセンサーが各種登場している。この技術は半導体リソグラフィを応用し、センサーのメカニズム(機械)部分を微小製作するもの。加速度センサー、角速度センサーなど、従来の技術で作ると大きくなるセンサーを小型化することが可能になる。この技術はシリコン基板を使うことから、センサーの信号検出回路やインターフェイスを作り込んだり、1つのパッケージに組み込んでモジュール化することも容易にできる。
 日立金属が開発した世界最小サイズの高精度・高機能3軸加速度センサーは、3軸方向の検出機能に加え、傾き機能や自由落下検出機能、温度センサー出力端子を装備し、4.8mm角の小型パッケージを実現している。このセンサーは測定値補正が不要で高精度検出を実現している。 このセンサーは、温度による特性の変化や製品ごとの感度のバラツキによる誤差を搭載のICNにより補正する。検出精度は総合検出誤差10%以下、パッケージサイズは4.8角×1.5mm。5000Gの耐衝撃性を実現し、携帯機器への搭載が可能である。
 沖電気が開発した3軸加速度センサーモジュールは、加速度センサーとデジタル通信機能を搭載したセンサーコントロールIC2種類のチップを1パッケージ化したもの。 ピエゾ効果を利用して3軸方向の加速度・傾き・衝撃などを検出し、この信号をデジタル出力する。小型機器へ搭載するための、高い衝撃耐性とセンサーチップの小型・薄型との両立をSOI(シリコン・オン・インシュレーター)を用いた独自のマイクロマシン技術により実現した。このセンサーチップとコントロールICチップをMCP技術により、一体化することで1.4mmの世界最薄パッケージで製品化した。これにより従来、サイズ制限や耐衝撃性の点から搭載できなかった携帯電話など小型携帯機器への搭載を可能にした。
 富士通メディアデバイスは、取り付け角の補正ができる小型・高感度の3軸加速度センサーを開発した。この加速度センサーはMEMSで作られたシリコンセンサーチップと補正機能を有する増幅回路を同一パッケージに実装したピエゾ3軸加速度センサーでカーナビをおもな対象としている。 これまでの加速度センサーは、インダッシュ装着後にセンサー素子が水平となるよう、あらかじめ背加速度センサーを傾けてボードに実装する必要があったが、この製品は2軸の出力をベクトル合成して取り付け角の影響をキャンセルする取り付け角度フリーを実現した。これにより面実装が可能になり高密度実装に貢献する。 また、デジタル補正ICを内蔵しており、初期偏差や温度特性の補正、ユーザーの要求に応じた感度調整が可能である。さらに周辺検出温度検出機能やパワーダウン機能も持つ。

写真1
クリックしてください。
3軸加速度センサー(日立金属)

  ◆角速度センサー
 松下電子部品は、業界最小形状を実現したカーナビ用MEMS角速度センサーを製品化している。  このセンサーは進行方向を検出するもので、同社独自技術開発による超小型音叉振動子と、従来に比べ外付け部品を削減したデジタル調整機能内蔵の専用ICと小型と信頼性を両立するパッケージ構造により、9.88×11.2×7.6mmの最小サイズを実現した。これにより実装面積の削減ができ、システムの小型・多機能化に貢献する。



  ◆ジャイロセンサー
 セイコーエプソンは、日本ガイシと共同で世界最小サイズの振動ジャイロセンサーを開発した。  この製品は、カメラの手ぶれ補正システム用として最適に設計された超小型の角速度センサーで、新開発のジャイロ素子に単結晶の水晶を使用することにより、従来にない高安定特性を実現した。さらに独自の水晶微細加工技術、低消費電力アナログ回路技術、パッケージング技術により駆動回路内蔵型では5.0×3.2×1.3mmと世界最小サイズを実現した。これを用いることで高性能手ぶれ補正機能を持つ小型デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話などが実現できる。

写真2
クリックしてください。
振動ジャイロセンサー(セイコーエプソン)


  ◆指紋認証センサー
 アルプス電気は高まるセキュリティのニーズに対して小型、薄型化し、おもに携帯電話、ノートPCなど携帯情報機器に向けた指紋認証センサーとして感圧フィルムタイプと透明エリアタイプをを開発している。  感圧フィルムタイプは独自のプロセス技術により、指紋の凹凸をセンシングするため、2層の電極を高感度でフィルム上に形成、これにより0.19mmの薄型化(IC除く)を実現した。この方式は水濡れに強いため指の乾燥の影響を受けにくく、より過酷な条件下で使われる携帯電話などで使用できる。また、セット側ではフィルムのフレキシブル特性により曲面でのデザインが容易である。用途はカード型薄型デバイス、携帯電話、ノートPC、PDAなど。  透明エリアタイプは、これも独自のプロセス技術で静電センサーを透明基板上に形成することにより、光透過構造を実現した。センサー部が光透過構造の指紋認証センサーの製品化は世界初。  センサー部を光透過構造にすることで、セット側ではこの製品をLCDの上に重ねて画面表示と組み合わせる設計が可能となり、多彩なアプリケーションを複合できる。また、透明エリアタイプは同社がグライドポイントで培った技術を応用し、指紋認証機能だけでなく指でなぞることによるポインティング機能と複合でき、用途を広げることができる。用途は携帯電話、PDAなどのこ型携帯情報機器。

写真3
クリックしてください。
感圧フィルムタイプ指紋認証センサー(アルプス電気)


  ◆FTセンサー(フェザータッチ センサー)
 アルプス電気が開発したFTセンサーは、指で滑るようにふれることにより操作する「フェザータッチインプット」を実現した新しい入力機器。このセンサーは、独自のフィルム基板印刷技術により、感圧センサーをフィルム上に形成し、これを独自の組み立て技術と加工技術により指になじむ特殊シリコンの操作部と組み合わせてオン・オフのストローク距離0.15mm、作動力で250Nを実現した。  これにより、指で軽く触れたり、軽く滑らせる動作(フェザータッチ)で指の位置をセンシングでき、ノートPCなどで普及しているタッチパッドのように直感的なアナログ操作ができる。


最新トレンド情報一覧トップページ