昨今の携帯電話はメール、ゲーム、カメラ、ムービー、テレビととどまることなく高付加価値化が進んでいる。限られたサイズの中でのこの機能追加は、液晶画面の大型化とあいまって、部品の搭載スペースを著しく圧迫している。 本稿では小型化・薄型化・複合化のニーズが強いタクトスイッチに的を絞り、その技術的背景について述べる。
◆コンタクトシート(アルプス電気商標)
最も薄く効率的に多くのスイッチを構成する手法として、軽快なタクティール感を伴う板バネを張り付けた粘着シートをパターン接点を設けたセット側の回路基板に張り付ける方法が一般化しており、10キースイッチ部に多用されている。
当社はこれまで培ってきた接点加工技術を生かしたコンタクトシート(写真1)を開発し数多くの使用実績を積んでいる。
・製品コンセプトと特徴
コンタクトシートは顧客側で基板と組み合わせることで、初めてスイッチとして機能を果たすという特殊性ゆえ、以下2点の工夫により高い接触信頼性を実現している(図1)。
(1)仮に基板との張り合わせ工程で異物(基板屑・繊維など)が侵入したとしても、板バネに3点の突起を設けることで接触不具合になる確率を極限まで低減させた。
(2)基板に張り付けた後は外部からの異物侵入を、2枚シート構成によって板バネ挿入孔間をエアの流通孔で繋ぎ外気と遮断することで防止した。
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コンタクトシート |
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コンタクトシートの構造 |
◆タクトスイッチ
・薄型化
薄型化を追求した外形4.5×4.5×高さ0.4mmのタクトスイッチ(写真2)は、板バネを直接セットのノブで押すシンプルな構造ながら、外部異物の侵入による接触不良を防止する防塵シートを設け、また最大限大きいφ3.5mmの板バネを搭載し、ノブがセンターから0.4mm程度ズレてもクリック感触を損なわない使い勝手の良さを実現させた。
・小型化
小型化を追求した外形3.55×3.9×高さ1.5mmのサイドプッシュタクトスイッチ(写真3)は、側面操作用として数多くの使用実績を持つ。
使用しているφ2.5mmの非常に小さな板バネは、良質なバネ材料選定と高いプレス加工技術の駆使により実現させた。サイドプッシュタクトスイッチには、高ハンダ強度タイプ、好フィーリングタイプなど市場のニーズに合った製品バラエティーも揃えている。
・複合化
携帯電話のカメラにもオートフォーカス機能が広まり、シャッター用途として外形6×6×高さ0.9mmのダブルアクションタクトスイッチ(写真4)が搭載される例が増えてきた。応力解析による独自の板バネ形状の採用と、1段目に対し2段目の作動力を約3倍にチューニングすることにより、薄形と好フィーリングを両立させた。
また、ナビ操作用途としては外形7.5×7.5mmの4方向プラスセンタープッシュスイッチ(写真5)をラインアップしており、板バネの形状を最適化することによって、携帯電話用途に対応する各方向50万回の動作寿命を実現させている。
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コンタクトスイッチ |
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サイドブッシュタクトスイッチ |
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ダブルアクションタクトスイッチ |
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4方向+センターブッシュスイッチ |
◆今後の展開
当社は小型化・薄型化・複合化はもとより、操作感触や操作音に対する高度な市場要求にも応えるべく、今後も素材技術、加工技術、評価技術などの要素技術を永続的に深耕し、新たな価値を提案していく。
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