◆まえがき
携帯電話は本体の小型化と表示装置(LCD)の大型化が急速に進展し、小型で音質の優れたレシーバーの登場が切望されている。
さらに第3世代携帯電話で規格化された音響性能(3Gpp Type3.2)を満足する高性能なレシーバーの開発ニーズが急速に高まってきた。
従来の携帯電話機は耳介と本体を密着させたときに(密閉状態)良好な音声が再生させるように設計されていた。
しかしながら最新の携帯電話は表示装置(LCD)の大型化にともない、音声を再生するレシーバーの装着位置が本体上端部になってしまうために、通話時に耳介と電話機本体との間に隙間ができてしまう。
この隙間からの空気漏れが音声の低音成分を大きく減衰させてしまい、音声の明瞭度が低下してしまう。
松下電子部品は、これらの問題を解決し、本体と耳介の間に隙間があっても良好な音声を再生できる小型で高性能な「リークトレラントレシーバー」を製品化した。
◆リークトレラントレシーバーとは
レシーバーとは通話時に送信されてきた電気信号を音に変換する部品である。電話機本体と耳介が密着していても離れていても、どちらの状態でも良好な音声を再生できる(周波数特性が劣化がほとんどない)ように構成したものを、リークトレラント方式という。
今回紹介する製品は第3世代携帯電話の規格(3Gpp Type3.2)を満足した小型で高性能なリークトレラントレシーバー3タイプである。
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リークトレラントレシーバー(左から標準・小型・スリム) |
◆特徴1:独自の振動板素材を開発
低音域までのフラットな音響特性を実現するためには、最低共振周波数(fo)の低いレシーバーを設計する必要があり、そのためには柔軟な振動板素材が必要である。
当社では低弾性率かつ高内部損失を備えた「アモルファスポリマー」を開発。本素材を採用することで、受話音質の劣化を防ぎ、明瞭度が高い音声再生を実現できる。
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振動板外観 |
◆特徴2:3タイプをラインアップ
標準タイプ、小型タイプ、スリムタイプの3タイプを商品化。携帯電話へのレシーバー搭載設計の自由度拡大に貢献。
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リークトレラントレシーバーのラインアップ |
◆特徴3:音響シミュレーションによるトータルシステム設計を実現
リークトレラント方式の設計においてはレシーバー単品だけではなく、ハンドセットの音響構造を含めたシステム設計が必要となる。
当社では、独自の音響シミュレーションの開発によるトータルシステム設計を実現した。
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動的粘弾性特性(開発品・従来品比較) |
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リークトレラントレシーバーの構造 |
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リークトレラントレシーバーの性能 |
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実装方法 |
◆おわりに
以上のように、リークトレラントレシーバーは、さまざまな使用条件に影響されない、特に低音再生に優れる製品であり、次世代携帯電話に対応する高性能なレシーバーを提供する。
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