車載用スイッチ/センサー向けレーザー溶着用PBT樹脂成形材料

パナソニックＡＩＳ社のレーザー溶着用 ＰＢＴ樹脂成形材料

　パナソニックＡＩＳ社は車載用スイッチやセンサー用のレーザー溶着用ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）樹脂成形材料を開発し、３月から本格量産する。レーザー光透過タイプ（色、ナチュラルとブラウン）とレーザー光吸収タイプ（ブラック）をそろえた。

　溶着強度が高く、接合時間を短縮できるレーザー溶着に使用されるＰＢＴ樹脂成形材料のレーザー光透過率の低下や溶着強度、防水性の課題を解決した。車載用構造部品の長期信頼性、設計自由度を高めた。車載用スイッチをはじめセンサー、ＥＣＵカバー溶着用などに供給する。

　新製品のＰＢＴ樹脂成形材料は、レーザー光を高効率で透過、吸収して瞬時に溶融し、海島構造を均一に分散できるアロイ化技術を採用。同社従来品で５２％だったレーザー光透過率を業界最高の７２％に高めた。高強度融着が可能なため、気密性に優れ、部品の長期信頼性を実現。従来の融着工法で必要な塗布工程、乾燥工程、ゴムパッキンなど部材を不要にした。

　また、ガラス繊維をランダムに配向させて反りを抑制する材料改質技術で反りやすい射出成形方法でも成形品の反り量を０.５ミリメートル以下に抑えた。

　従来のＰＢＴ樹脂成形材料はレーザー溶着加工時に嵌合部に隙間が生じ、部品面の溶着強度にばらつきが生じるため成形品の反り量が２.３ミリメートルとなり気密性や防水性で課題となっていた。

　ＰＢＴ樹脂成形材料の加水分解性の悪さも樹脂改質技術で解決し、車載用途で要求される耐水性、耐薬品性を持つ。同社従来品で５０％だった高温高湿試験後（温度８５度、湿度８５％Ｒｈの環境下で１千時間）の引っ張り強度保持率を９４％にまで高めた。７ミリメートルサイズの小型スイッチ部品から１００ミリメートルサイズの大型部品まで対応可能。エンジンルーム内でも使用できる。