音声再生ブロック内蔵の家電用8ビットローパワーマイコン

　ロームグループのラピスセミコンダクタは、音声合成エンジンからスピーカアンプまで内蔵した音声再生ブロックを業界で初めて内蔵した家電用8ビットローパワーマイコンを開発した。外部スピーカを接続するだけで簡単に音声を再生できる。従来5チップ必要だった機能をワンチップで実現。音声再生機能は従来のソフトウエア処理でなくハードウエア処理のため、ＣＰＵコアに負担をかけることなく、高音質の音声再生を可能にした。

　音声用ROM（　2PROM）なし／　2PROM内蔵の４メガ／8メガ／16メガビットの4品種を取りそろえ、5月中旬から順次量産を開始する。月産5万個体制でスタートした。　新開発の家電用8ビットローパワーマイコンは「ML610Q380シリーズ」。0.22マイクロメートルCMOSプロセスを採用。

　CUコアに同社独自の３段パイプラインアーキテクチャによる並列処理で、１命令１クロックの効率的な命令実行が可能なRISC方式8ビットCPUコア「U8」に加え、業界初のシンセサイザ、デジタルフィルター、DAC、最大0.6Wスピーカアンプまで内蔵した音声再生ブロック「VOICE」を搭載。リモコンなどの小音量から炊飯器、エアコンなどのアナウンス音まで幅広く対応できる。

　24セグ×4コム構成のLCDドライバー、16チャンネル逐次比較型10ビットDAC、IGBTを制御できる16ビットPWM、バッテリレベル検出、8ビットタイマー、SPI／UART／　2IC、８メガヘルツ　内蔵ＰＬＬ発振.32キロヘルツ　外付け水晶発振・32キロヘルツ　内蔵ＲＣ発振のクロックなども搭載し、家電全般に使える。

　電源電圧は2.2―5.5V。動作電流をスタンバイ時2.0μA（HALTモード）／0.7μA（STOPモード）、動作時13μA（32キロヘルツ　）／5mA（8メガヘルツ　）のローパワーを実現した。

　時計機能だけを使用している場合の消費電流を業界トップの3.0μA以下にし、電池交換なしで長時間駆動できる。小型調理家電全般にも同様の対応が可能。動作温度-40―+70度C。パッケージは14×14ミリメートル角の80ピンQFPを採用。

　オンチップデバッグ機能を搭載し、基板実装状態でのソフトウエアのデバッグや書き換えが可能。リファレンスボードを同時に提供できる。前工程をラピスセミコンダクタの宮城工場で、後工程を国内関連会社でそれぞれ行う。