スマートメーターの電源バックアップ向け電気二重層コンデンサ

　ニチコンは、スマートメーターの電源バックアップ用に適した業界最高の低ESR（等価直列抵抗）、-40度C保証の低温特性を実現したリード線タイプの電気二重層コンデンサ「UKシリーズ」を開発し、4月から量産を開始する。同社従来品3個を並列使用して実現していたESRを今回のUKシリーズを使えば1個で済む。ドライブレコーダ、ストレージサーバーなどの電源バックアップ用として、二次電池からの置き換え需要も狙う。

　新開発のUKシリーズは、電極の活性炭の細孔径や薄い電極層の採用など、各種パラメータを最適化し、従来の電極の抵抗を約2分の1に低減。電解液も安全性が高く、環境に優しいプロピレンカーボネートをベースに、抵抗特性を最大限引き出せる溶質・溶媒組成を独自開発し、電解液の電導度を従来電解液の約2倍にした。

　これらにより、非アセトニトリル系電解液を採用した電気二重層コンデンサでは業界最高の低ESRを実現した。同社従来品「UMシリーズ」で75mΩだった外形寸法φ12.5×31.5Lミリメートル品の20度CでのESRをUKシリーズでは25mΩと3分の1に下げた。UMシリーズでマイナス25度Ｃ保証だった低温特性もUKシリーズは-40度C保証した。

　無線通信を行う際、瞬間的な出力が必要なスマートメーターは低抵抗の電源バックアップ用デバイスが求められていた。また、スマートメーターは屋外設置されるため電源デバイスは幅広い温度領域で使用でき、特に低温時の抵抗特性の確保が課題になっていた。

　▽定格電圧＝2.5VDC▽定格静電容量範囲＝6.8―27F▽カテゴリ温度範囲＝+40―+70度C▽製品寸法＝φ12.5×31.5L―φ18×40Lミリメートル▽耐久性＝70度C1千時間保証。今後、高温側の使用温度領域をアルミ電解コンデンサ並みの85度Ｃ、105度Ｃ、125度Ｃに拡大。耐電圧も3VDCに近付け、用途をさらに広げていく。

　4月からサンプル出荷を始め、リードタイプ／ネジ端子型／基板自立型の電気二重層コンデンサを生産しているニチコン長野工場（長野県安曇野市）で4月から月産50万個で量産に入る。サンプル価格100円／個から。