消光比と周囲温度に依存しないシリコン集積光スイッチ

　ＮＥＣは、シリコン光集積回路技術を利用して、光の高いオンオフ比（消光比）と周囲温度に依存しない特性を有する、大幅に小型化した光スイッチを開発した。

　開発した光スイッチは、標準ＣＭＯＳ　ＬＳＩの製造プロセスを活用して形成したシリコン光導波路をベースに、ヒーターによる局所加熱で光路を制御する微小な素子１５２個を集積化し、入力８ポート、出力８ポートの間の光経路を自由に設定する機能を１６×１２ミリメートルのチップ上で実現した。

　広帯域光通信ネットワークやデータセンターのネットワークでは、ネットワークの経路を大容量の情報を乗せた光のレベルで直接切り替えることが求められている。これに対応して、光スイッチの技術が盛んに開発されているが、特性・小型化・生産性など課題が多かった。

　今回開発した光スイッチでは、シリコンＣＭＯＳプロセスを使用し、光路の遮断に２個のゲート素子を使用した。これにより、装置適用時に要求される消光比４０デシベル以上を実現した。

　また、光を通過させる際だけにヒーターによる加熱を行い、光を遮断する際にはヒーターによる加熱を行わない素子配置を採用した。これにより、周囲温度の影響を受けにくいスイッチ特性の実現が可能となり、７５度Ｃまで安定なスイッチ動作を実現できた。

　ＮＥＣでは、産業技術総合研究所と共同研究を進めている光集積回路と光ファイバを直接接続する技術で成果を挙げている。同社は、光スイッチのモジュール化、共同研究の接続技術開発を進め、１３年度末をメドに光ネットワーク装置への適用を目指すとしている。