101015_03
日付 |
メーカー名 |
製品分類 |
分類 |
用途 |
10月15日 |
101015_03 |
東芝セミコンダクター |
ユニット |
電源・アンテナ・高周波部品 |
一般産業用 |
フルデジタル制御方式による降圧DC-DCコンバータ各種
東芝セミコンダクター社は、フルデジタル制御方式による降圧DC―DCコンバータを開発し、サンプル出荷を開始した。「デジタル電源」を容易に導入でき、24時間常時駆動システムなど信頼性が要求される機器のPOL(負荷近傍)電源などからの普及が見込まれる。
デジタル電源と呼ばれるデジタル制御電源は、スイッチング電源のフィードバック回路を差分アンプではなく、ADコンバータに置き換え、デジタル回路で制御を行う。従来の電源(アナログ制御電源)では不可能だった多くの機能を実現するなど、多くの利点を持ち「次世代の電源」として注目を集める。
利点の一つは、従来は外付けの抵抗、コンデンサで決定していた動作特性をソフトで変更できる点。設計開発が容易になり、外付け部品の経年劣化リスクを抑えられる。効率改善も大きな利点。応答時間などを自在に設定できるノンリニアな制御など、アナログ制御では不可能な複雑な制御で効率アップが図れる。
さらにMCUなど外部のデジタル部品と詳細な通信が行えることもデジタル電源の長所。電圧、電流、温度、各種異常など電源回路の情報を外部へ発信できる。
デジタル電源はこれらの利点を持つものの、普及に向けていくつかの課題がある。まず、デジタル制御を行うDSPが必要であり、コスト高を招く点。また制御アルゴリズムが高度で初期開発の手間が大きい点も課題だ。このため、デジタル電源の普及は、AC―DC電源などより、規模の大きいシステムの一部に限られてきた。
今回、東芝が開発したDC―DCコンバータ「TC7750」は、入力電圧範囲2.7―5.5VのPOL電源で使用できるフルデジタル制御方式の電源。POLで有効なデジタル電源のメリットに特化しながら、コスト面、ソフト設計面の課題を可能な限り克服する、というコンセプトで開発されている。
■DSP不要に
制御アルゴリズムをハードウエア・アクセラレータ化し、高価なDSPが不要でユーザーのアルゴリズム開発負担を軽減した。アルゴリズム設計の自由度は失われるが、デジタル制御への要求が限られるPOLでのニーズには十分に対応できる機能、性能を備える。
GUIツールを使い、各種監視機能のしきい値を自由に設定でき、保護シーケンスプログラムも自在に行えるなど、デジタル制御だからこその機能とフレキシブルさを実現できる。
また、デジタル電源の特徴である通信機能も充実。電源制御用の通信インターフェイスであるPMバスを搭載する。「24時間365日稼働が求められるサーバーなどの用途での徹底した電源監視ニーズに応えることができる」(同社)。
出力電流は最大3A。出力電圧は0.6Vから入力電圧マイナス0.3Vまで設定できる(0.75メガヘルツ動作時)。パッケージは28ピンのQFNパッケージを採用。
サンプル価格は500円。GUIツールや、PMバスとUSBをブリッジする開発ボードなども提供中。量産は11年夏頃を予定している。
同社は、同様のフルデジタル制御方式のコンセプトを用いたDC―DCコンバータをシリーズ化していく方針。MOSFET内蔵品などもラインアップしていく。
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