080912_07
日付 |
メーカー名 |
製品分類 |
分類 |
用途 |
9月12日 |
080912_07 |
ローム/本田技術研究所 |
ユニット |
電源・アンテナ・高周波部品 |
自動車機器用 |
フルシリコンカーバイドパワーデバイスによる次世代電気動力車向けハイパワーインバータモジュール
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ロームは11日、本田技術研究所(埼玉県和光市)と共同で、世界初のフルシリコンカーバイド(SiC)パワーデバイスによる次世代電気動力車向けハイパワーインバータモジュールを開発したと発表した。
ロームが独自開発したSiC―ショットキーバリアダイオード(SBD、チップサイズ5.14ミリ角)と、SiC―金属・酸化物・半導体電界効果トランジスタ(MOSFET、同4.8×2.4ミリ)を搭載している。
本田技術研究所のハイパワーインバータモジュール技術を用い、ロームで1200V・230A(280kVA)クラスのハイパワーインバータモジュールに仕上げた。コンバータ回路(1相)とインバータ回路(3相)をワンパッケージに搭載し、モジュールサイズを195×135×30ミリに小型化した。
ハイブリッド車や電気自動車などの電気動力車に適用することで大幅な損失軽減、システムの小型、軽量化が図れる。
ロームが開発したSiCパワーデバイスの素子単体特性は従来のSi(シリコン)―IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)と比べスイッチング損失を約7分の1に低減。パワーモジュール性能としてもスイッチング損失をこれまでのSi―IGBTの約4分の1以下に低減できる。
これらによりオン損失を含めた電力交換時の総損失を低減。スイッチング損失の低減分、スイッチング周波数を上げることができる。従来のSi―IGBTを使用した20キロヘル
ツPWM周波数の場合、4倍の80キロヘルツに高周波化が図れる。
今後、SiC―MOSFET単体性能を十分に引き出すパワーモジュール構造の改善やSiC―MOSFETの微細化や構造改良を進め、ハイパワーインバータモジュールの性能向上を図っていく。両社は大電流を必要とするパワーエレクトロ二クス分野で、必要な電力交換の実用デバイスとして、さらなる応用展開を図っていく。
今回のSiCパワーデバイスをインバータ回路に使用すると、総損失低減用途では発熱量が少なくなり、冷却機器の小型化や温度マネジメントの設計範囲の拡大が期待できる。昇圧コンバータ回路に使えば、従来のSiに比べ4倍の駆動周波数を得られるため、周辺部品の小型化、軽量化による機器の大幅な出力容積密度を向上できる。
温度特性もSiより倍の高温安定特性を持ち、車載応用でフェイルセーフを考慮した設計が容易になる。特にロームのSiC―MOSFETはノーマリーオフタイプのため、回路を過電流から保護できる。 |