電波プロダクトニュース



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日付 メーカー名 製品分類 分類 用途
1月29日080129_01 ナショナルセミコンダクター 半導体複合部品 機能モジュール 一般産業用

世界で初めての「コンティニュアス・タイム(連続時間)型シグマデルタ」(CTSD)技術を実用化しADCとしては初の0.13μmプロセスを使用したアナログデジタルコンバータ(ADC)製品ADC12EU050



 米ナショナルセミコンダクター(NS、日本法人=NSジャパン、東京都江東区)は、世界で初めて「コンティニュアス・タイム(連続時間)型シグマデルタ」(CTSD)技術を実用化、同技術を使用したアナログデジタルコンバータ(ADC)製品「ADC12EU050」の量産化に成功し発売した。

 CTSD技術は、一般的なADCの変換技術「パイプライン技術」「ディスクリートタイム型シグマデルタ(DTSD)技術」と異なり、入力段にトランジスタとコンデンサで構成する「サンプルアンドホールドアンプ」(SHA)を持たない。入力段は抵抗のみの単純な回路で構成する。

 SHAを用いるADCでサンプリングレートを高速化する場合、SN比を犠牲にしてSHA部のコンデンサ容量を小さくするか、消費電力を犠牲にして電荷量を増やす必要があり、性能と低消費電力の両立に限界があった。

 そのため抵抗のみの入力段となるCTSDの場合、低消費電力と低ノイズを維持したまま高速化しやすく、従来必要だった前段のSHA駆動用ドライバーICを省略でき、低電圧動作にも対応しやすい。消費電力はパイプライン方式で、最も低消費電力製品と比べ3割程度低い。

 さらにCTSDでは、帯域外信号により生じるエイリアシングを防止する「ローパスブリックウォールアンチエイリアシングフィルター」を内蔵し、パイプライン方式で必要だった外部のローパスフィルターも不要になる。

 CTSD技術は15年以上前から研究開発されてきたが、高精度のクロックコンディショニング技術や高精度DAC技術が不可欠で、量産技術が確立できなかった。

■0.13μmプロセス
 NSでは、ADCとしては初の0.13マイクロメートルプロセスを適用し、チップ内で高精度にクロックを補正するPLLプラスVCO(フェーズロックループプラス電圧制御オシレータ)回路を実現するなどし、世界初の量産化に成功した。

 同社は当面のCTSD技術適用範囲として「12ビット―16ビット程度の分解能範囲、毎秒40メガ―80メガサンプルのサンプリングレート範囲」と現状パイプライン方式が使用される領域を想定する。

 CTSD第1弾製品の「ADC12EU050」は超音波診断装置など医療機器向けの8チャンネル12ビット品でサンプリングレートは毎秒50メガサンプル。消費電力は約350mWで1チャンネル当たり44mWに抑えられている。SN比は70デシベル、SN比プラス歪みは68デシベル。入力レベルが所定のリミットを超えた場合に入力飽和を1クロックサイクル以内に修復するオンチップ即時過負荷回復回路も内蔵している。

 サンプル価格は1000個購入時7500円で、「量産時の価格もパイプライン製品と同等程度になる見込み」(同社)。

 同社では、今後もCTSDADCの高分解能化、高速サンプリング対応を進め、産業・計測機器向けや通信インフラ向け製品をリリースしていく。


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