070322_01
日付 |
メーカー名 |
製品分類 |
分類 |
用途 |
3月22日 |
070322_01 |
新潟精密 |
半導体集積回路 |
マイコン・DSP |
一般民生用 |
専用DSPと高周波アナログ回路を混在させた世界初となるフルCMOSワンチップAM/FMホームラジオチューナ用IC
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新潟精密(東京都港区、池田毅社長)は、世界初となるフルCMOSワンチップのAM/FMホームラジオチューナ用IC(商品名=NS954シリーズ)の開発に成功した(既報)。
従来は、アナログ処理していた回路を、CMOSの特性を生かした専用DSP(デジタルシグナルプロセッサ)でデジタル信号処理し、さらに、高周波アナログ回路をワンチップに混在させたミックスド・シグナル化を図ったもの。AM/FMホームラジオチューナの設計時に同ICを使用することで、セラミックフィルターなどのチューナ構成部品点数を大幅削減でき、セットの小型高性能化やコストダウンが図れる。
新製品は、DSP処理によるフルCMOSワンチップのAM/FM/RDS・RBDS(ラジオデータシステム)ホームラジオチューナ用IC。パッケージ寸法は、6.0ミリ角(QFNパッケージ)。
ミニコンポなどに搭載されるAM/FM/RDS・RBDSホームラジオチューナは、高度で多くの特性規格要求から、現在はバイポーラやバイCMOSを使用して2、3個のICで構成され、フルCMOSワンチップ化ができなかった。今回のNS954シリーズは、CMOSの特性をフルに生かし、AM回路ではLNA(高周波低雑音増幅器)だけアナログ回路、それ以降はすべてDSP処理した。このため、イメージ信号除去率が極めて大きく、その影響を一切受けない。LNAは、フリッカ雑音の小さいPチャンネルFETを採用。FMは、LNAから中間周波増幅回路までをアナログ処理し、それ以降はDSP処理を実施。その結果、現在のバイポーラトランジスタと各特性で同等以上の性能が得られた。
同シリーズを活用してチューナモジュールを製品化すると、IC使用は1個で、使用する電子部品は(1)現在は3個程度使われるセラミックフィルターは不要で(フィルターのスカート特性は極めて良好)(2)5個程度のバラクタダイオードと(3)6個の中間周波トランスも不要となる。現在は187個以上使用されている外付け電子部品を、NS954シリーズ使用のチューナでは、11―12個まで減らすことができ、部品点数の9割超の削減が可能。DSP処理により調整も不要で、サイズは、従来比10分の1以下に小型化可能。
ブロック同期、およびエラー訂正が付いたRDS・RBDS回路、12Sフォーマットのデジタルオーディオ出力などを内蔵。これにより、ソフトウエア処理を軽減し、オーディオ性能が向上する。フルCMOSワンチップの基本特許はじめ、10点以上の米国特許取得済み。
FMは、東欧バンドを含む全世界対応、実用感度9dBu、SN比65デシベル(A―weight)。AMは、実用感度14dBu、SN比55デシベル。
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サンプル価格(2千個=1リール購入時)は、1個800円(RDS付きは1千円)。5月から本格サンプル出荷予定。量産は7月から。初年度1500万個以上の販売を予定。
同IC開発について、東北大学の大見忠弘名誉教授(未来科学技術共同研究センター客員教授)は「デジタルもアナログも高周波もすべてCMOSで実現する時代がいよいよ始まる。今回の新潟精密の開発は、それを記念する大きな業績」とのコメントを発表した。
同社では、DSP処理によるフルCMOSワンチップIC技術が確立できたことから、「今後はカーラジオやワンセグなどの分野にも応用していく」(日下部進副社長)方針。このフルCMOSの特性を生かし、アナログ信号のデジタル処理技術を応用して(1)AM/FMカーラジオチューナIC(2)デジタルTV受信用IC(チューナとOFDM部をワンチップ)として、現状の周辺電子部品を90%以上削減した超小型の商品を順次発表する。ラジオおよびFMトランスミッタ、デジタルTVなどを組み合わせた複合ワンチップ化や、モバイル端末などの送受信回路のフルCMOS1チップ化にも応用していく。
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