電波プロダクトニュース



041220_04
 
日付 メーカー名 製品分類 分類 用途
12月20日041220_04 (独)インフィニオン 半導体集積回路 その他 汎用

デジタル/アナログ回路



 独インフィニオンテクノロジーズはこのほど、サンフランシスコで開催された国際電子デバイス会議で、ミュンヘン工科大学と共同で、低電圧のデジタル回路およびアナログ回路の実現を可能にする新しいトランジスター「トンネルFET」を作製、優れた静特性と動特性が得られたと発表した。

半導体の微細加工技術が進展し、技術ノードが45ナノメートルおよびそれ以下では、従来のCMOSトランジスターの作製はますます困難になる。MOSFETでは、ゲート長がソースおよびドレイン空乏層の幅に近い値まで縮小されるのに伴って、ソース拡散層とドレイン拡散層が徐々に短絡するショートチャンネル効果が普遍的に起こる。また、短いMOSFETチャンネルのゲート制御機能を維持するには、ゲート絶縁膜の厚さもスケールダウンする必要があり、高誘電率材料が必要になる。さらにアナログ回路では、増幅率に影響が出る。

これに対して有力な解決策の1つが標準のMOSFETと比較して異なる原理で動作するトンネルFETである。  インフィニオンとミュンヘン工科大学が発表したトンネルFET構造では、チャンネルのソース側にトンネル接合が設けられている。非導通時のトンネルFETでは、ソースとドレインの間に大きなPN接合の障壁があり、リーク電流が非常に低く抑えられる。ゲートの順方向バイアスによってMOSチャンネルが形成されると、ツェナー降伏による急峻なターンオン特性を持つトンネル電流が発生する。研究陣は、標準シリコンプロセスに何らの変更を加えることなくトンネルFETを作製することに成功した。開発されたトンネルFET(低電力TCMOS=TFET―CMOS)ロジックは、標準CMOSとの置き換えが可能で、TCMOS回路では静的な消費電力が入力ベクトルに応じて最高100分の1まで低減される。

また、トンネルFETは、指数関数的なスイッチング特性を持つので、アナログ回路の集積化にも理想的でショートチャンネル効果の低減によりデバイスのアナログ特性が改善される。トンネルFETでは動作点0.6Vで増幅率110が測定された。  さらに、トンネルFETは基板とウェルのコンタクトが集積化されるので、PDSOI(部分空乏型SOI)技術にとって最適で、標準PDSOI MOSFETのフローティングボディー効果が除去される。トンネルFETのプロセスおよびデバイスシミュレーションでは、20ナノメートルまでショートチャンネル効果は起きなかったとのこと。このため、より厚いゲート酸化膜を使用でき、高誘電率ゲート絶縁膜の必要性を先延ばしにできる。


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