野村総研

23年度までIoT大きく伸長

 野村総合研究所(NRI)は29日、23年度までのICT関連の主要5分野(デバイス・ネットワーク・コンテンツ・プラットフォーム・xTech)の動向と市場規模の予測を発表した。予測ではこれからのデジタル変革の時代を「ソフトウエアが全てを飲み込む」時代と捉え、5年先の企業と社会構造について考察。27市場の予測では、IoT関連が大きく伸びるとともに、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、音声エージェントといった最新のデジタル技術を中心に大きく成長していく見通しだ。

 主な市場を見ると、デバイス市場では17年度の世界のスマホ販売台数が20億台を超え、23年度には23.3億台に増加する見通しだ。IoTやAI(人工知能)関連市場が伸びる中で、ドローンや音声エージェント端末の出荷台数が大きく伸びるとみる。

 音声エージェント端末は今年から国内でも発売され、17年度普及率は5.4%程度になる見込みだが、製品群の拡充や利用価値の浸透などによって23年には世帯普及率が50%弱に達すると予測。

 ネットワーク市場では、国内固定ブロードバンド回線加入件数は17年度末の3630万件から23年度末には3900万台に達する。携帯電話などの契約件数はIoT機器などの通信モジュールの拡大、MVNO(仮想移動体通信事業者)の登場により、17年度末の1億7099万回線から23年度には1億8316万回線に増加。格安スマホは23年度には17年度比約2倍の4070万回線まで拡大する見込みだ。

 コンテンツ市場は付加価値化の競争が進む。月額固定料金で豊富なコンテンツを視聴できるサービスが拡大し、17年度1826億円から23年度2200億円になる見通し。動画配信事業者のコンテンツ制作や配信も進み、従来の放送局による一体的な構造から多様化していくとみられる。

 プラットフォーム市場ではクラウドとIoTがけん引していく。クラウド市場は17年度6973億円から23年度1兆1661億円となり、IoT市場は17年度9300億円から23年度4兆円超まで大きく拡大していく。ビジネスの価値を高めていく「ビジネスIT」の領域が市場をけん引していく見通しだ。

xTechに焦点

 今回はITを多様な分野に応用し、新たな価値を創造してビジネスにつなげていく「xTech」に焦点を当てた予測を出した。石綿昌平ICT・メディア産業コンサルティング部長は「現在の変化はソフトが全てを飲み込む最終仕上げの状態にあることを踏まえ、予測している」と話す。

 xTechでは金融のフィンテック、小売りのリテールテックをはじめ、広告、食品、教育、スポーツ、人事、農業、ヘルスケアの市場で予測分析。

 フィンテックは電子決済などのスマートペイメントが拡大していくほか、スポーツや農業、ヘルスケアの領域は「これまで市場が小さかったが、IoTにより急速に伸びる」(石綿部長)とし、23年度まで年20%以上で成長するとみる。

日本国内におけるIoT市場規模の予測 画像1
日本国内におけるスマートペイメント市場規模(取扱高)の予測 画像1
[引用元:NRI]