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世界最大、毎秒118.5テラ伝送を実現したマルチコア光ファイバ新技術

 NTT、KDDI総合研究所、住友電気工業、フジクラ、古河電気工業、NEC、千葉工業大学は、現在使用されている光ファイバと同じ細さで、1本に4個の光の通り道(コア)を有するマルチコア光ファイバを用い、世界最大の毎秒118.5 テラ伝送を実現した。

 現在の光ファイバと同じ細さの国際規格に準拠したガラス直径125マイクロメートルを採用。既存の光ファイバ製造技術や光ファイバ同士を接続する光コネクタなど既存の周辺技術が活用できる。複数メーカーの要素技術を組み合わせ、長距離かつ大容量のマルチコア伝送システムが構築できることを実証。マルチコア光ファイバを活用した光通信システムの実用化に向け、大きく前進した。

今回のマルチコア光ファイバの特徴
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(出所:NTT持株会社ニュースリリース)

 携帯端末や多様な通信サービスの普及に伴い、データ通信容量は年率10%を上回る勢いで世界的に増大。20年代の後半には現在使用している光ファイバの伝送容量限界が予測されている。光ファイバの普及とデータ通信容量の増加に伴い、サービスプロバイダが保有するビル内やデータセンタ内における光ファイバ設備の肥大化と、大量のデータ通信の集中による送信障害も深刻化しつつある。

 このため、既存光ファイバの伝送容量限界の打破や設備の高密度化・省スペース化を目的に1本の光ファイバ内に複数の光の通り道(コア)を持つマルチコア光ファイバの研究開発が世界的に推進されている。1本の光ファイバに10個以上のコアを配置し、伝送容量を増やす研究開発も行われてきた。

 コア数の多いマルチコア光ファイバは、ガラスの直径が既存の光ファイバよりも太くなり、製造技術の向上と周辺技術の開発が不可欠で、実用化に10年程度を要すると言われていた。

 今回の成果は、これらの課題を解決。現在と同じ細さの光ファイバで世界最大の伝送容量を実現した。

 今後、同光ファイバ技術を20年代前半の実用化を目指し、将来の多様なデータ通信需要に対応可能な光伝送基盤の実現に貢献する。同研究開発の一部は、情報通信研究機構(NICT)の委託研究成果を用いている。