コンデンサメーカー

LTE/5G向け強化

画像1
通信インフラ向けにコンデンサの
新製品開発が相次ぐ
 コンデンサメーカーが通信インフラ向けの新製品を相次いで開発している。通信トラフィックの増大によって、大容量高速通信のLTE方式は、現在の4Gシステムでの設備投資が続いており、さらに高速、大容量化する5Gシステムへと引き継がれ、高信頼性で高性能のコンデンサ需要が伸びる見通し。各社では小型、大容量で環境に優れた新製品の提案活動を積極的に展開する。

 従来の携帯電話基地局は、デジタル信号処理を行うベースバンドユニットと無線信号を送受信するRFユニットは個別の筐体で構成していたが、現在では全機能を1筐体に納めて小型化されている。

 そのため、搭載される部品については小型化が要求されるとともに、筐体内の高温度化への対応が必要になっている。コンデンサ各社でのこうした技術的なニーズに対応して、基地局専用の新製品開発への取り組みを強めている。

 村田製作所は世界で初めて3225サイズで、125度保証、定格電圧100V、静電容量10μFの積層セラミックコンデンサ(MLCC)を商品化した。従来の最大容量は4.7μFだった。

 ネットワーク機器や基地局などの電源回路には、高信頼性のMLCCが使われることが多く、従来は2.2μF品や4.7μF品を複数個使用することで必要な静電容量を確保していた。

 今回、10μFへの大容量化によってコンデンサの員数削減が可能となり、機器の小型化および信頼性の向上に貢献することができる。さらに電源回路は48Vラインで使用されることが多く、そこでは定格電圧100Vのコンデンサが求められることにも対応する。

 太陽誘電は高周波中高耐圧MLCCを2012サイズと1608サイズで開発した。基地局などに搭載され、無線通信機器の高周波回路においてインピーダンスマッチング用途に使用されるもの。

 材料技術や製造プロセスの高度化を図り、定格電圧250Vの同形状で業界トップクラスのQ値を実現。各サイズ54アイテムと幅広いラインアップを取りそろえ、無線通信機器の低損失化、高信頼性化に貢献する。

 日本ケミコンは従来の同一サイズに比べて最大2.4倍の大容量化を実現したチップアルミ電解コンデンサ「MHSシリーズ」を開発。高容量電極箔を採用するとともに、より薄いセパレータを用いることでアルミ電極箔の表面積を大きく取ることに成功し、大容量化を実現した。

 さらに一定の製品空間率を確保し、蒸気圧が低く、高温中での蒸散が少ない高性能電解液を採用したことで、125度5千時間保証の長寿命化と、JEDEC規格に準拠する高温リフロー対応を両立した。

 φ12.5×13.5ミリメートルとφ12.5×16ミリメートルの2サイズ。静電容量は16―100V定格で110―2千μF。

 NECトーキンは125度2千時間保証に対応した高信頼度導電性高分子(ポリマー)タイプ・タンタルコンデンサ「PS/Hシリーズ」を開発。素子材料であるタンタル粉末・素子製造工法(陽極酸化方法や導電性高分子合成方法)の改善により、従来の使用上限温度を125度へ耐熱性を高めた(従来は105度)。3528サイズ。6.3―25V定格で3.3―100μFをカバーする。