最先端の機能安全プロセッサ

英ARM社が発表

 英ARM社は21日、自立走行車や医療/産業用ロボット向けに、高度な安全機能を備えたリアルタイムプロセッサ「Cortex―R52」を発表した。機能安全が車載/産機市場で最も厳しい安全規格「ISO26262 ASIL D」と「IEC61508 SIL3」に適合する。

 同プロセッサは、効率性と迅速な反応に加え、高度な安全性能が求められるシステムに最適化され、手術の自動化、安全管理、車載パワートレイン制御など多様な用途に対応。米STマイクロ社は車載市場向けSoC開発のため、ARMパートナーの中で最初に同プロセッサのライセンス取得を発表した。

 同日、同社の日本法人アーム(横浜市港北区)のオフィス内で行われた報道関係者向け技術説明会で、中島理志・応用技術部シニアマネージャーは「Cortex―R52はARM製品の中でも最も安全性に配慮して設計されたリアルタイムプロセッサ。昨今、安全性が求められるマーケットが増加し、複雑な電子機器と安全性の両立が求められている。Cortex―R52は偶発的エラーとシステム的なエラーの両方をサポートでき、顧客の機能安全対応マイコンをより早く立ち上げることが可能。リアルタイム性能も担保され、標準プロセッサによる機能安全とコストセービングを提供する」と説明した。

 同製品では、ハードウエアによるソフトウエアタスクの分離機能により安全最優先のコードが完全に分離される。ハードウエアは実行の監視とタスクのリソース管理を行うソフトウエアハイパーバイザーにより管理される。ソフトウエアでの正確で堅ろうな分離により、安全認証を必要とするコードの量を減らし、ソフトウエアの統合、メンテナンス、検証を容易とすることで開発をスピードアップする。ソフトウエアの複雑化を抑え、リアルタイムシステムが求める確定性と高速コンテキストスイッチも提供する。

 ARM Fast ModelsとCycle Modelsの提供により、ソフトウエアパートナーはプロセッサ向けソリューションを開発可能となる。新製品はCortex―R5に比較し35%高い性能を提供する。Green Hills Compiler2017を使用し、EEMBC AutoBenchではクラス最高の1.36Automark/メガヘルツのスコアを達成した。