MRIミニモデルで世界初

高温超電導コイルを用い高磁界強度撮像

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藤田 執行役員
 三菱電機、京都大学、東北大学は経済産業省が実施する国家プロジェクトで、高温超電導コイルをMRI(磁気共鳴画像撮像装置)ミニモデルに搭載し、世界初の磁界強度3 テスラ (3万ガウス )での撮像に成功した。使用したコイルは180度以下で電気抵抗がゼロになるイットリウム(Y)系を用いているため、液体ヘリウムが不要となる。

 先端技術総合研究所執行役員の藤田正弘所長は「高い磁界強度のMRIは、より高精細な画像での診断を実現する。病気の早期発見につながるため、電気機器への高温超電導コイル適用も期待できる」と語った。医療用診断装置MRIの15年度国内設置台数は約6千台。年率6%で普及・拡大すると予想している(同社調べ)。


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MRIミニモデル用高温超電導コイル
 高精細の画像を撮像するには強い磁界強度が発生できる超電導コイルを用いたMRIが主流で、超電導状態を維持するため269度以下まで冷却する必要があり、装置が大がかりとなっている。また、液体ヘリウムの原料であるヘリウムガスが採取できるガス田が少なく、資源枯渇のリスクがあり、液体ヘリウムを用いない高温超電導コイルの開発が期待されている。

 低温超電導線に比べて同じ断面積で大きな電流を流せるため、より小さなコイルで同等の磁界を発生でき、約30%の電力削減にもつながる。電気機器の小型化も実現できる。

 同件は、経産省の「高温超電導コイル基盤技術開発プロジェクト」および日本医療研究開発機構(AMED)の「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業 高安定磁場コイルシステム基盤技術の研究開発」の支援を受けた。

 同社は今後、20年度までに実用機の半分サイズのMRIを試作。高温超電導コイルの設計・製造基盤技術を構築し、高安定磁界システムの実用化に向けた研究開発を推進する。また、21年度以降に実用機サイズのコイル試作を行うなど、早期の事業化を目指す。