コンデンサ 進む高性能化、活発な新製品開発

データの高速伝送や高速処理に対応、自動運転実用化など見据える

 コンデンサはスマホ、自動車、産業機器の3大需要分野で生産規模が拡大している。スマホ向けに高密度実装化に対応した超小型品、自動車用の高信頼性タイプ、産業機器向けの高性能タイプなどの新製品が相次ぎ開発されている。

1.スマホ用コンデンサ

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MLCCは0402サイズから0201サイズへの
小型化シフトの提案が始まった(太陽誘電)  
 スマホは薄い形状で多機能化し、しかも電池の占める面積が拡大しているために、部品の実装密度が飛躍的に高まっている。コンデンサではMLCCにおける小型、薄型化に向けた開発が活発化している。

 スマホ向けMLCCは、ローエンドタイプで200―400個、ミドルレンジで300―500個、ハイエンドで400―800個が搭載されるという。そのうち、0402サイズや0603サイズといった超小型品の搭載比率が約5割を占めている。

 MLCC主要各社では、0402サイズと0603サイズなど超小型品を対象に大容量化、高耐電圧化といった新製品開発に注力している。

 次世代チップとして、0201サイズの生産が始まった。0402サイズに比べて45%の小型化を実現。0201サイズで静電容量を従来の2.2倍の0.022μFに拡大した新製品が開発されている。

 スマホなどでは、部品内蔵基板を使用したモジュールの搭載が広がっている。部品内蔵用MLCCは、0.11ミリ厚の超薄型品が登場した。

 MLCCの高機能化では、振動によるMLCCの「鳴き対策」としてインターポーザ基板を介して振動を抑制し、メイン基板への振動の影響を最大抑制するインターポーザ基板付きMLCCが開発されている。さらに温湿度変化による結露による部品のイオンマイグレーションを抑制する撥水MLCCが開発された。

 スマホでは、タンタルコンデンサの採用も始まった。従来は陰極材料として二酸化マンガンを使用していたが、低ESR化を推進するために最近では導電性高分子材料を使用した製品がスマホなど、市場を拡大している。

2.自動車用コンデンサ

 自動車の電子化および電動化進展によって、様々な電子制御システムが実用化。ECUの搭載点数は増加し、自動車1台に100個以上のECUが搭載される例もみられる。

 ECU用MLCCは、外部電極に板状の金属フレームを取付、外部から様々な応力を緩和した金属端子付きタイプが開発されている。

 新たに150℃保証タイプで、50―630V定格、100μ―220μFの高耐電圧、大容量化を実現したMLCCが開発された。

 アルミ電解コンデンサには高温度対応とともに高耐振動化が強く求められるようになっている。従来製品の振動加速度が最大10Gだったのに対して、40Gへの対応を可能にした耐振動コンデンサが開発された。同時に125℃の高温度対応を実現している。振動ストレスにより部品内部の電極引き出しタブが破断するのを防止するため、内部素子の振動自体を抑制する目的で外装ケース側面部にビート加工を施し、部品内部の素子を確実に固定している。

 さらに補助端子を備えた特殊ホルダーを用いることで、φ18ミリのリード形アルミ電解コンデンサにおける耐振性能を飛躍的に高めた縦型耐振コンデンサが開発された。従来品に比べ、リード端子部の破断に対する強度が振動回数に比較で300倍向上している。

 フィルムコンデンサは、蒸着パターン技術を用いて高耐電圧化し、従来より薄いフィルムを導入し小型化が可能になったことからHEV、EVのインバータ電源回路で採用されている。

 電気二重層キャパシタは、燃費向上などを目的に自動車での本格的な搭載が始まった。

3.産業機器用コンデンサ

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インバータ向けに耐圧600Vを実現した基板自
立形アルミ電解コンデンサ (サイズφ20×25
―φ35×50ミリ、ニチコン)            
 コンデンサは、産業用インバータや太陽光発電のパワコンといった高電圧、大電流の電源分野も大きな市場の一つ。特にアルミ電解コンデンサやフィルムコンデンサ、さらには電気二重層キャパシタにとっては成長分野である。

 アルミ電解コンデンサは、インバータ用として、高耐圧化への取り組みが活発化している。直列接続本数の削減やバランス抵抗の削減などのメリットがあるためだ。

 高耐圧化技術としては、電極箔の絶縁破壊電圧と電解液の耐電圧の向上が必要。ねじ端子形として定格電圧700V、基板自立形では同600Vという高耐電圧製品が商品化されている。

 フィルムコンデンサは、パワコンにおいて、平滑用をはじめ、サージ吸収用、スナバ用、ノイズ対策用などとして用いられる。

 大容量キャパシタは、エネルギー回生、蓄電関連分野で注目されている。リチウムイオンキャパシタ(LiC)や電気二重層キャパシタ(EDLC)など、材料によって様々なタイプがある。その中で、正極、負極材料として活性炭を使用したEDLCの採用が広がっている。