プリント配線板 新技術、新製品の開発活発

車載用の高信頼製品やスマホ、モジュール用部品内蔵基盤など

 プリント配線板の新技術が相次いでいる。自動車では、ミリ波レーダーやカメラなどを利用した安全支援システムといった最先端技術、振動、衝撃への信頼性技術の開発が活発化。スマホやモジュール、さらにはウエアラブル分野では部品内蔵基板や高密度フレキシブル配線板(FPC)などが台頭している。 

 自動車用プリント配線板

 自動車は、車両制御系、ボディ系、情報通信系、パワートレイン系など、具体的なアプリケーションごとに技術ニーズが異なり、それぞれに最適に設計されたプリント配線板が供給される。中でも最近注目されているADASに絡んだミリ波レーダーユニットやカメラモジュール向けの開発が活発化している。

 日本シイエムケイは、ユニットの小型化や低コスト化などの視点から複合多層プリント配線板を開発している。高周波特性が求められるアンテナ用基板に高周波特性に優れた材料を用い、半導体チップなどを実装する制御部に、FR―4などの汎用的な高密度実装用基板材料を使用するもの。

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車載用として高信頼性実装を実現する
はんだクラック抑制プリント配線板   
 電装化率の高まりから搭載個数が増加する車載ECUをはじめとする車載機器は、温度、振動、衝撃など、搭載環境が過酷になることを踏まえた高信頼性の確保が強く求められている。日本シイエムケイは、はんだクラック抑制プリント配線板「SEPTシリーズ」を開発した。 従来のプリント配線板に対して、部品直下の絶縁層を独自構成することで、熱応力を緩和し、はんだクラックの抑制を実現している。

 自動車用メーターパネル技術の多様化に対するプリント配線板では、ペーストスルーホール基板が注目されている。北陸電気工業は、自動車用メーターパネル向けに銀、銅系のペーストスルーホール基板の納入実績を伸ばしている。

 一般的な銅めっきスルーホール基板をペーストスルーホール基板に変更することで、大幅なVA効果が得られるのが特徴。高密度回路を形成でき、基板材質には紙フェノールやコンポジット材を使えることから信頼性を確保できる。

 スマホ、モジュール用基板

 スマホやモジュール用基板は、ビルドアップ技術の高度化で微細パターン化、薄型化が進んでいる。ウエアラブル端末の台頭によって、基板面積の小型、薄型化が一段と強く求められることになる。

 ビルドアップ多層板はコア層の両面に配線する層を積み重ねる工法が一般的だが、最近では、全層レーザービアおよびフィールドめっきによる信頼性の高いエニーレイヤー基板がスマホなどで採用されている。
 エニーレイヤーはドリルでスルーホールを形成するコア層を必要とせず、レーザーを用いて小径のビアホールだけで各層間を接続する。

 L(ライン)/S(スペース)は50μm/50μm以下の微細化技術を適用。レーザービアのビア径は75μm以下に小径化。しかも基板厚みは、6層で0.3ミリメートル厚内外を実現している。

 モジュールの小型、高機能化には、部品内蔵基板技術が採用されるようになってきた。部品内蔵基板は、基板内に受動部品やICを内蔵し、その上部全面に配線層が設けられ、様々なデバイスを3次元実装するもの。

 KOAは、LTCC(低温焼結セラミック)を応用したモジュール基板やカスタムパッケージ・インターポーザに柔軟に対応している。半導体のカスタムパッケージ用途として、長期信頼性に優れるセラミックに比抵抗の低い銀を配線し一体焼成したLTCC積層基板を提案する。微細配線技術と高精度積層技術は、配線密度の高い多端子インターポーザやマルチチップモジュール用基板を可能にする。

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スマホ、モジュール、ウエアラブル機器などに
向けて極薄化するFPC             
 さらに同社は、円形や角形を組み合わせた特殊形状の要求にも積極的に対応している。スペース制約などから特殊形状が要求されるセンサー素子のパッケージや基板、マザーボードのモジュール基板など、様々な用途で利用できる。

 FPCの技術も高度化する。日本メクトロンは、スマホ、モジュール、ウエアラブルなどが強く要求する薄型FPCでは、「TCF」をはじめ、両面、多層FPCの薄型化技術を提案。「TCF」は、全面粘着付片面極薄FPC。薄カバーコート層の厚みはわずか7μm。通常の銅パターンのほか、銀ペーストによるジャンパー構造対応を可能にしている。

 極薄両面FPCでは、片面配線部(ケーブル部)の厚みが34μm、両面配線部の厚みが66μmと薄く、超薄型ケーブルと高密度実装を両立する。そのため、スマホなどの携帯機器の薄型化に適している。

 多層FPCは、4層ビルド構造で総厚0.19ミリの「フレクスビルドボード」、貫通スルーホールレスで、対向ビア接続による設計自由度が高まる対向ビア多層FPCを開発している。