自動車用電子部品 技術が一層高度化

車の電子化や運転支援鞭、衝突回避鐙など安全系電装技術も進展

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車載インバータ用の850V高電圧対応コネクタ
(タイコエレクトロニクスジャパン)
        
 最近の車は、電子化が一段と進んでいる。既に自動プレーキなどのADAS(先進運転支援システム)が一部の車両で実用化され、今後も将来の完全自動運転を目指した技術開発が活発化していく見込み。電子部品メーカーは車載用電子部品の技術開発を一段と加速させている。

 「安全」「快適」「環境」「楽しさ」などをキーワードとする車の高機能化は、車載用電子部品の需要を拡大させている。カーナビを核とした情報通信系に加え、特に今後は運転支援システムや衝突回避システム等の安全系電装技術の高度化が、新たな電子部品需要を押し上げることが見込まれる。同時に、EV(電気自動車)/PHV(プラグインハイブリッド車) /FCV(燃料電池自動車)などの需要本格化も、パワー系部品技術の高度化を促進する。

 車載安全系部品技術

 最近の車は、ドライバーや歩行者等の安全性向上のため様々な機能付加が進んでいる。車の安全システムは(1)アクティブセーフティ(予防安全)と(2)パッシブセーフティ(乗員安全)に大別される。

 衝突事故を未然に防止する予防安全系では、ミリ波レーダー(76GHz)や車載カメラなどとセンサーの組み合わせによる高度な運転支援システムの搭載が進んでいる。具体的には、レーダーが前方車との距離を測定し、ドライバーに危険を告知したり自動減速を行う追突防止レーダー、車載カメラが道路の白線を認識し本来のレーンに誘導する白線検知システム、カメラで角膜検知を行う居眠り防止システムなどがある。部品各社はこれらに対応し、ミリ波レーダーや車載用高画素カメラ部品、横滑り防止などのセンサー、無線モジュール等の開発を加速させている。

 運転者が視界を前方から外すことなく運転できるHUD(ヘッドアップディスプレイ)開発も加速。将来の「V2X」市場に照準を合わせ、IEEE802.11p(5.9GHz)規格準拠の車車間通信モジュールなどの開発も進展している。乗員安全系では、プリテンショナルシートベルト向けのモーターやセンサーなどの開発が進む。

 情報通信系部品技術

 カーナビを中心とする車載情報通信系では、取り扱いデータ量の増大に対応するための高速伝送対応部品開発や、車とスマホの連携に向けた部品開発などが進んでいる。

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車載用LTEモジュール(外形寸法28.9×29.8×
高さ4.22ミリメートル (アルプス電機)      
 車内機器の通信用では、車載ブルートゥースモジュールに加え、車載Wi−Fiモジュールなどの開発に力が注がれている。衛星測位用モジュールは、GPSに加え、GNSS(全地球衛星測位システム)受信モジュール開発に乗り出す企業もみられる。

 コネクタは車載用高周波コネクタの開発が活発。特に今後の需要増が期待される車載HSD(ハイスピードデータ)コネクタやFAKRA(ファクラ)コネクタ、USCARコネクタなどの開発やラインアップ拡充が目立っている。 カーナビ用タッチパネルは、抵抗膜式から静電容量式への切り替えが順次進み、車載静電容量タッチパネル開発が加速している。車載純正タッチパネルの曲面対応技術開発も進む。

 EV/PHV/FCV用部品技術

 EV/PHV/FCV向けでは、車載インバータ用の高圧コンデンサとしてフィルムコンデンサやアルミ電解コンデンサの技術開発が進展している。車載プリント配線板の耐熱信頼性要求に対応した受動部品開発も進む。150℃の耐熱特性に対応した部品の投入も加速している。

 車載蓄電デバイスとして、電気二重層キャパシタの搭載も本格化しつつある。電気二重層キャパシタは大量の電気を瞬時に充放電でき、繰り返し使用しても劣化が少ないのが特徴。

 エコカー用2次電池は、従来のHEVの主流だったニッケル水素電池に加え、LIBの開発が活発化。各社は、バッテリの小型軽量化や、急速充電・繰り返し充電対応、長寿命、安全性向上、低コストなどを追求した技術開発に力を注いでいる。