PLD/FPGA進む技術革新、適用範囲拡大

 

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モパイル喘末などの多様化や製品ライフサイクルの
短期化で広がるPLD需要

 ユーザーが任意の論理回路を構成できる半導体デバイスPLD(プログラマブル・ロジック・デバイス)の市場が拡大している。背景にはスマホで代表されるモバイル端末など電子機器の多様化や製品ライフサイクルの短期化がある。PLDの代名詞ともなっているFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)は、技術革新がめざましく、その適用範囲が広がっている。PLDはデザインインの上流にかかわることからビジネスの優位性もある。

 PLDの動向

 電子機器には、メモリー、マイクロプロセッサ、ロジックという3種類の基本的なデバイスがある。メモリーデバイスはスプレッドシートやデータベースの内容をランダムな情報として格納する。マイクロプロセッサは、ソフトウエアのインストラクションを実行、ワードプロセッシングプログラムやビデオゲームといった多様なタスクを処理する。

 ロジックデバイスは、デバイス間の接続、データ通信、シグナルプロセッシング、データ表示、タイミングとコントロール操作、その他通常システムに合まれる機能のほとんどを実行できる。ロジックデバイスは2つの種類があり、固定されたロジックおよびPLDに大別できる。

 PLDはすべて既製の広範なロジック容量、機能、速度、電圧特性を提供し、いつでも変更が可能でいくつもの機能を実行できる。PLDの設計では、ソフトウエアツールを使用して、短時間にデザインを開発、シミュレート、テストできる。そのデザインは迅速にデバイス内にプログラムされて、その場で実際の回路でテストされる。PLD最大の利点はプロトタイプに使われたPLDが最終的に機器の制御に使用されるPLDと同一で、固定されたロジックデバイスに比べ、開発費やマスクセットは不要で、ずっと速く最終的なデザインを完了させられる点にある。

 ASICとPLDの価格差縮小、量産拡大

 FPGAの回路設定は一般にハードウエア記述言語(HDL)を使って指定する。出荷後に機能を更新でき、設計面で部分的に再構成できる。

 従来は、ASICやASSPといったロジックデバイスに比べPLDは割高で、最終製品への搭載は現実的ではなかった。しかしながら、ロジックデバイスの微細加工レベルがナノクラスに達した現在では、マスクなどの初期製造コストが飛躍的に増加。年間数千〜数万個程度の生産規模であれば、ASICとPLDの価格差は大きく縮小した。生産数量の比較的小さい通信機器や産業機器といった分野を中心にPLDの量産使用が拡大している。また昨今ではロジックデバイスの微細化を上回るペースで、FPGAの微細化が進んでいることで、より生産数量の多いケースでも、ASICとPLDの価格差は解消されつつある。

 ARMなどプロセッサコア搭載

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ザイリンクスのFPGAを採用した評価ポード
 各FPGAメーカーは、より幅広い用途でPLD/FPGAが使用できるよう、積極的な技術・製品開発を展開している。その一つが、FPGAデバイスにプロセッサコアを搭載する動きである。微細プロセスにより、集積度を高められるため、回路変更可能なロジックとともにARMコアなど汎用プロセッサを混載した製品の出荷が始まっている。

 従来、プロセッサデバイスとFPGAの2チップ構成だったシステムを1チップ化できる上、ロジック部とプロセッサ部を同一ダイ上で形成することによる高速接続も発揮でき、性能面でも利点があるデバイスとして注目を集める。

 3次元積層技術による進むチップ化、複含化

 3次元チップ積層技術によりFPGAの高集積化を加速させた製品も登場してきた。シリコン基板上に複数のFPGAチップを実装し、高速接続性を維持しながら、ロジック規模をさらに拡大させた技術であり、より大規模なASICもFPGAで代替できる。

 今後もFPGAは、さらなる微細化プロセスの適用に加え、プロセッサやメモリー、各種汎用ロジックデバイスと複合化するなどの進化を遂げ、より高性能、多機能で使いやすいデバイスを目指す。