メタル系パワーインダクタ 車載向けの新製品開発活発


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 車載用インダクタの新製品開発が活発化している。これまで巻線タイプや積層タイプが主に使用されてきたが、新たに金属磁性材料を用いたメタル系パワーインダクタの車載向けの開発が相次いでいる。同パワーインダクタは、スマホでの採用が定着化。今後車載分野に市場を拡大していく。

 メタル系パワーインダクタは、半導体デバイスへの電源供給回路やDC―DCコンバータなどの電源回路で使用するもの。これまでのパワーインダクタの主流は、ニッケル(Ni)―亜鉛(Zn)系フェライトコアに銅線を巻回したフェライト系巻線パワーインダクタだった。現在、注目されているメタル系パワーインダクタは、鉄(Fe)―シリコン(Si)系などの金属磁性材料を用いたもの。

 メタル系の特徴は、フェライト系に比べ小型、低背で大電流に対応できる点。メタル系パワーインダクタは、ノートPCのCPUを駆動する電源回路で採用されたのが始まりとされ、現在ではスマホやタブレットPCのDC―DCコンバータでの採用が定着化。

 ここにきて、東光、太陽誘電が相次いで車載用の高信頼性タイプを商品化し、販売を開始している。

 東光は、スマホ向けでメタル系パワーインダクタ事業を拡大しているが、今度は自動車分野での事業拡大を目指している。

 そのため、高信頼性タイプ「DFEGシリーズ」を開発し、販売を開始した。新製品は、使用温度範囲がマイナス40―プラス125度Cの「DFEGタイプ」と同マイナス40―プラス155度C対応の「DFEHタイプ」の2種。

 メタル金属磁性材料の採用で、フェライトに比べて体制で約50%の小型化を実現。これは10ミリメートル角サイズのフェライトインダクタ相当の特性を7ミリメートル角サイズで達成するもの。サイズは、7ミリ角×3ミリメートル、10ミリ角×4ミリメートル、12ミリ角×6ミリメートルの3サイズ。

 特性面では新たに開発した構造、素材技術を用いることで、優れた磁気飽和特性による大電流化、温度変化に依存しない直流重畳特性を実現している。

 高い透磁性と絶縁性


 太陽誘電は、自動車電装や産業機器市場からの強い要望に応えるため、メタル系パワーインダクタ「MDMK2020」(2ミリ角×1.2ミリメートルサイズ)、「MDMK4040」(4ミリ角×1.2ミリメートルサイズ)に高信頼性カテゴリを設け、新たに2シリーズを商品化した。

 スマホなど、民生機器向けで高い評価を得ているメタル系パワーインダクタのラインアップ拡大に取り組んだ。同社のメタル系パワーインダクタに使用されている金属系磁性材料は、一般的なメタルコンポジット材料と比較した際に有機系バインダを含んでおらず、高い透磁性と絶縁性を有しているため、高温での使用にも適している。

 今回、メタル系パワーインダクタに、使用温度範囲がマイナス40―プラス125度CでAEC―Q200に対応した商品ラインアップを追加した。今後も150度C対応など、自動車をはじめとした高信頼性市場からのニーズに応えられるよう、順次ラインアップを拡大していく。