電子機器、スマートフォン、タブレット端末の小型、薄型化、多機能化に対応 

新高性能材料や最新プロセス採用 高周波部品、より技術進化

 画像1

 高周波部品は、機器の小型化、搭載されるモジュールの高機能化に向けた新製品開発が活発化している。スマートフォンやタブレット端末などの小型、薄型、多機能化の進展を背景に、個別部品は極小化し、モジュールは小型、薄型で高機能化を推進。引き続き、新しい高性能材料を使い、最新のプロセス技術を用いて、高周波部品が進化していく。

薄膜技術応用のLCR台頭
スマートフォンやタブレット端末、各種高周波モジュールの小型、軽量化、多機能化に向けた新製品開発を踏まえ、コンデンサ、インダクタ、抵抗器をはじめとする個別の回路部品の小型化技術が飛躍的な進歩を見せている。チップ抵抗器、積層セラミックコンデンサ、積層インダクタ、さらにはサーミスタ、バリスタなどは0603サイズから0402サイズにシフト。しかも最近では薄膜技術を応用したLCRが台頭してきた。高周波回路における高精度化に向けた動き。すでにインダクタや抵抗器の薄膜チップは高周波回路での採用が定着化しているが、ここにきて、薄膜コンデンサが0402サイズで開発された。この薄膜コンデンサは、静電容量(0.2―3pF)の公差を±0.05pFと狭公差化し、薄膜材料と最適な形状設計により、従来比150%の高Q特性を達成した。また、自己共振周波数特性も6.8Gヘルツ(2.2pF)という高い特性を実現した。実装面では、端子構造を底面端子化し、高精度の切断プロセスを用いることによって、高い寸法精度を実現している。

アンテナは、セラミック材料による超小型のSMD単機能アンテナやセラミック混合樹脂材料および三次元電極形成技術による筐体組込みアンテナなどの小型化が進む。デュアル、トリプルといった複数の周波数帯に1個のアンテナで対応する複合小型タイプの開発が活発化している。

積層誘電体フィルターをはじめ、チップバランなどは、2×1.25ミリメートルサイズ程度まで一般化し、一部の周波数帯では1.6×0.8ミリメートルサイズまで小型化している。さらに水晶振動子は2×1.6ミリメートルサイズ、1612サイズ、1210サイズへと小型化技術が進展。

TCXO(温度補償型水晶発振器)も2520サイズから2016サイズへと小型化。SAWデバイスは、これまでのパッケージングに加え、WLP構造を採用することによって、2ミリメートル角サイズから1点数ミリメートル角クラスへと小型化。

ブルートゥース、W―LAN、WiMAX、GPS、ワンセグチューナ、ZigBee用など、各種モジュールが台頭している。これまでのモジュールは薄型で小面積の基板による微細パターン化、超小型、薄型部品の搭載、さらにはLTCC(低温焼結セラミック基板)の採用などによって、小型、高機能化を推進してきた。最近では部品内蔵基板技術を用いて、小型で大規模回路をモジュール化する技術が注目されている。

 画像1

部品内蔵基板に銅コア内蔵やコアレス回路基板採用
 部品内蔵基板は、多層板の内層回路に電子部品や半導体を印刷形成したものや電子部品や半導体を埋め込んだものなど、様々な技術開発が進んでいる。基板は、薄くて高周波特性、耐熱性などに優れた材質が利用されているが、ここにきて銅コアを内蔵した回路基板やコアレス回路基板などを用いた部品内蔵基板が登場している。

 樹脂系部品内蔵基板は、多層化については基板全体を薄くするためにビルドアップ工法が用いられ、パターン形成に一般的なサブストレート工法を使う。微細化をするためにはアディティブ工法を採用することによって、L(ライン)/S(スペース)=25μ/25μm程度まで超微細化が可能とされる。また、層間を接続するビアホールは面積効率を高めるために極小径化する。

 内蔵するSMDは、基板厚みを薄くするために基板内蔵用の極薄チップの開発が活発化している。チップ抵抗器では厚み0.15ミリメートルの製品が登場した。電極も基板内蔵に対応して銅電極を採用し、基板内で銅メッキ接続を可能にしている。

 積層セラミックコンデンサは、最新技術として1005サイズの0.05ミリメートル厚で0.1μF、0603サイズの0.05ミリメートル厚では0.01μFを実現。

 半導体デバイスの内蔵化は、EWPを用いている例が多い。その中で、最近では半導体パッケージを特殊な技術で薄型にして利用する技術も開発された。さらに、ガリウム砒素(GaAs)アンテナスイッチを内蔵したモジュールも開発された。